総合設備効率(OEE)は、製薬事業における最重要事項です。それには確かな理由があります。
OEEは、計算による機器の可用性、スループット、および製品品質を考慮する包括的な測定基準です。ライフサイエンス分野では品質が第一ですが、OEEは製造パフォーマンスの瞬間の全体像とその改善に向けたフレームワークを提供します。
幸いなことに、プロセス分析技術(PAT)やその他の高度な分析ツールのおかげで、ライフサイエンス企業は今や直接OEEに影響を与えるプロセスを常時監視できるツールを手にしています。測定はPATの大きな部分ですが、このブログではPATの心臓部である「最重要なA」、すなわち「分析(Analysis)」に焦点を当てます。
言い換えると、最新のアプリケーションは製造データを分析し、逸脱を正確に指摘し、対応する担当者に重要な情報を提供することによってその解決をスピードアップします。
高度な分析はライフサイエンスのOEEにどのように影響を与えるか
この数年間、高度な分析に最適なライフサイエンスのアプリケーションを求める問いを幾度も受けました。
私はこう答えます。分析は、ブレンダ、リアクタや発酵槽の性能の改善から、タブレットのスループットや殺菌の有効性までほぼすべてのオペレーションのOEEに影響を与えることができます。
分析、およびさらに詳細な情報に基づく決断は、データから始まります。そして、すべてのライフサイエンス企業にとって分析主導の成果への道は3つの質問で始まります。
- 事業の目的は何か?
- どんなデータが利用できるか?
- そのデータを分析でどのように活用できるか、およびすぐれた意思決定を実現できるどんな情報を提供できるか?
高度な分析の実践
高度な分析がどのようにOEEを改善でき、ビジネスの目的を達成できるかを詳細に検討してみましょう。
初めに、異常検出は、ストリーミング分析プラットフォームの標準的な使用事例です。受信する大きなデータセットをリアルタイムで処理し、分析できます。異常検出は、製薬プラント全体の無数のプロセスに適用され、製品の品質、機器の可用性、およびスループットに直接の影響を与えます。
簡単に言うと、異常検出は常時プロセスを監視し、何が正常かを学習し、異常なパターンを検出した場合にアラートを作成します。
例えば、異常検出は温度の異常変動やバッチでの腐食剤の過剰な使用を特定できます。タイムリーな情報を利用することで、オペレータは異常の原因を早急に特定する手段を備え、解消に向けた手順をとることができます。
同様に、機器の状態をリアルタイムで監視し分析することは、予知保全の実行を可能にし、プロセスパフォーマンスを改善できる極めて重要な情報を提供できます。
例えば、発酵槽のエアコンプレッサの健全性の監視は、故障の兆候の重要な指標である異常なエネルギー使用量や温度を検出できます。こうした知識を実装することにより、作業員は優れた意思決定をすることができます。しかも、コンプレッサのパフォーマンスがバッチ品質に影響を与える前に、またはラインの予期せぬダウンタイムを発生させる前に、メンテナンスの予定を決め実施することができます。
成功へのステップ
高度な分析プロジェクトを実装しているどのライフサイエンス企業でも、究極のビジョンは優れたOEEです。より具体的に言うと、直接かつプラスの財務的影響を及ぼす全体的にすぐれた品質およびパフォーマンスです。
どのようにしたら、プロジェクトを成功への道筋に導くことができるでしょうか? ここでは、業界リーダによる成功事例に基づいたアドバイスをご紹介します。
- 分析プロジェクトをすべての製造プロジェクトを取り扱うのと同じように取り扱う 多くの場合、テクノロジやベンダーの選択が最上位であるのに比べ、分析プロジェクトは部外者として取り扱われています。しかし「サプライヤが何を提供してくれるか見てみましょう」というのは絶対に成功レシピではないと誰もが分かっています。
かわりに、製造現場の主要な利害関係者がプロジェクトに参加するチームを組織してスタートするようにします。そして、事業の目的、実装サイクルおよび検証サイクルを含む包括的なプロジェクトプランを策定してください。
- ベンダーの能力を徹底的に調査リファレンスに勝るものはありません。特にお客様のプロジェクトと同様のプロジェクトについて説明しているベンダーリファレンスに勝るものはありません。
- 検証要件を考慮し、常に前もって計画分析はその性質上、状況に適応し、人間の決断のサポートとして作られていることに注意してください。潜在的な、しかし予期しない、逸脱や決定をオペレータに警告するメカニズムの検証方法について考えてみましょう。
- 「超現実的な思考」に陥らないことアナリティクスをめぐるマーケティングが過熱しており、特に機械学習とAIについてはそれが顕著です。予知保全を試したクライアントが、「予知保全がすべての故障を予知しなかったので失望した」と言ったことを私は決して忘れません。はっきり言って、そういう期待は現実的ではありません。
完璧を求める傾向は避けましょう。そのかわり、いつでも起こりうる何らかのイベントではなく、再発する可能性のある計画イベントの有益な情報を提供できるか検証しましょう。
成功への鍵とは何でしょうか。過大な期待を抱かず、プロジェクトに現実的な期待を設定し、結果を追跡し、自身の元々の価値命題に集中し続けることです。