世界中で、製造業は自律的なオペレーションに向かっています。人工知能(AI)、ロボット、およびモノのインターネット(IoT)の急速な進歩に伴い、自律的な製造は企業に効率性の向上をもたらし、より複雑な環境で操業する際に、よりレジリエント(回復力がある)で適応性のある操業を可能にしています。

先日開催されたAutomation Fair 2024で、ロックウェル・オートメーションのブレイク・モレット最高経営責任者(CEO)は、自律型製造とは既存のワークフローに「自律性の要素を追加する」ことだと強調しました。それは、既存のワークフローの一部となることで価値を付加するために、AIを使って学習できるシステムを導入することです。
例えば、インライン品質管理システムは、生産中に問題を検出して対処し、コストのかかるバッチの手戻りを回避することができます。AIエンジンはまた、ダウンタイムを削減し、シームレスなオペレーションを保証するために、リアルタイムでプロセスを最適化します。
シリル・ペルデュカット最高技術責任者(CTO)は、AIと統合ロボット工学およびSDA (Software-Defined Automation: ソフトウェア定義オートメーション)の融合を「業界にとってユニークな変曲点」と評しました。
自律型製造は、AIと自動化を活用して仕事を向上させる方法を学ぶことで、人々がどのように異なる働き方をすることができるかということです。データを分析し、結果を予測し、変化する環境に素早く適応する能力は、エッジへと方向転換した企業に優位性をもたらすことでしょう。これらの能力により、製造メーカは熟練した労働力の確保と維持という課題に対処しながら、プロセスと業務効率を改善できるようになります。
製造業の新時代へ
最新の「スマートマニュファクチャリング報告書」では、調査対象となったほぼすべての製造メーカが、労働力の増強に協働ロボット(コボット)、自律移動ロボット(AMR)、および無人搬送車(AGV)などのスマートマニュファクチャリング技術を使用していると回答しました。AIやウェアラブル技術などのエマージングテクノロジ(新興技術)も、投資分野のリストで上位にランクされています。
これらの結果から、製造メーカがこれらのソリューションを熱心に検討していることは明らかです。最近の進歩により、これらのテクノロジをワークフローに統合することが容易になり、効率性とプラスの影響を高めるためのイネーブラとして機能しています。
今後数年間、ロックウェル・オートメーションの主な焦点は、生産設計、制御、および物流になります。当社の自律型マテリアル・ハンドリング・ソリューションであるOTTOは、柔軟で機敏な自律的な運用により、すでに生産物流物流を変革しています。世界的に包装業界をリードしているMauser社は、2台のOTTO AMRを使用して、スループットを600%向上させ、3人の作業員をより付加価値の高い役割に再配置することができました。また、エッジとクラウドのテクノロジを強化し、エッジがクラウド内の情報のデータブローカーとして機能できるようにして、両者間のよりレジリエントな(回復力のある)橋渡しを実現することも計画しています。

設計の分野では、Emulate3Dなどのデジタル・ツイン・ソフトウェアが、実際の実装前に製造メーカがフルスケールのオペレーションを構築してシミュレーションするのに役立っています。これにより、チームは事前にトラブルシューティングの障害や欠陥を特定できるため、貴重な時間とリソースを節約できます。例えば、ケンメック・メカニカル社は、Emulate3Dを使用して生産ラインと機械設計の潜在的な問題を特定しました。その結果、チームは自信を持ってソリューションを実際に実装でき、効率と全体的な精度が向上しました。一方、ECMテクノロジーズ社は、仮想コミッショニング、スループットシミュレーション、産業用デモを通じて立上げ時間を50%短縮することができました。
FactoryTalk DataMosaixのようなソフトウェアは、サイロ化されたデータをまとめて解読し、理解するのに役立ちます。これにより、根本原因分析や予測分析に使用できるようになります。プロセス・オートメーション・システムを提供するInControl Systems社などの企業は、FactoryTalk DataMosaixを活用して、クライアントへのデジタルソリューションの提供を加速し、新しい機能を提供できるようになりました。
FactoryTalk Analytics VisionAIと組み合わせることで、製造メーカはトレーニング済みの特殊なAIモデルを使用して高度な欠陥検出を実行できるため、最も微妙でまれな異常の可能性も特定できます。重要な部分の1つは実装です。コード不要のアプローチを使用しているため、コーディング経験がほとんどまたはまったくないユーザにとっても使いやすいツールになっています。
これらは、私たちがすでに業界の自律性とソフトウェア定義の運用に向けて取り組んでいる方法のほんの一部です。
自律的な製造は、効率性とビジネスの収益性だけにとどまりません。それは、洗練された知性で人間をサポートするテクノロジを使用して、よりレジリエントで(回復力があり)、アジャイル(俊敏)で、サステナブル(持続可能)な職場を作り出すことです。
この記事はもともと、スコット・ウールドリッジのLinkedInで公開されました。