単なる「感動」要因を超えて
7年前、私はメキシコのガラス業界のお客様が製品カタログをARで作成するお手伝いをしていました。このプロジェクトは会社の製品を新しい方法で見せるもので、販促活動でお客様に製品を紹介するために、紙に印刷されたカタログを持ち歩く必要はなくなりました。お客様がカタログを閲覧し、最終的に製品を購入し、販売後に情報をやり取りするプロセスが、ARによって急速に変化することをこの会社の人々は認識しました。
LEGO社は10年以上前からARを活用しており、販売だけでなく、箱から出したブロックセットにプラスアルファの機能を追加することも行なっています。英国にあるいくつかのLEGOストアに含まれるこのデジタルボックスの使用例では、ストアに来店したお客様からいつも感動が生まれています。私自身、ブライトンのLEGOストアで最初にこれを試したときの感動を決して忘れることはないでしょう。AR体験が生み出すこの感動要因への反応は、未来が今ここで現実になっていることに起因することは明らかです。
しかし、ユーザに強い印象を与えるためのARの使用は、このテクノロジが本来意図した唯一の用途ではありません。ARテクノロジは、現在、最新の製造施設で保守や検査に広く使用されています。実際、かつてはSFだったこのテクノロジを、今では多くのお客様が利用しているのを私は見ています。
産業従事者のためのAR
ボバ・フェットの宇宙船ではありませんが、今日の航空産業では、多くの保守、修理、および操作(MRO)でエクステンデッドリアリティ(XR)テクノロジ(AR、MR、および仮想現実(VR)を統合したもの)を使用して、可能な限り早期に航空機が再び就航できるようにしています。
製品が複雑であればあるほど、その手順を適用するために必要な認知負荷は大きくなります。このため、XRテクノロジは、前線にいる作業者が、ほとんどすべての認知資源を、組み立て、検査、またはタスクの実行に充てることができるよう支援します。しかしそれだけではありません。その大きな違いは、作業を正しく遂行できる能力(ファースト・タイム・ライト(FTR))と短期間に(速く)作業できることにあります。多くの企業は、ARの最大の利点は以下の点にあると理解しています。
1. 作業者の効率アップ
2. リアルタイムの共同作業の改善
3. 専門家と初心者の間の知識伝達の改善
(出典: IDC 2021 Commercial AR Survey)
また、ARは、製造環境の安全を考慮する場合にも有効です。AREA社のようなAR企業は、貴重なリソースや知見を生み出し、工場や産業用スペースでARの実装を開始する場合、最新版のベストプラクティス安全プレイブックのように考慮すべき優れたベースラインを提供します。
実際、ARは命を救う可能性を秘めています。産業労働者は日常的に危険な環境にさらされていることが多く、リスクを理解するための適切なテクノロジを持つことは極めて重要です。