デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現することは、象を食べるようなものです。食べる際には一口サイズに切り分けなければなりませんが、常にそれが象であることを忘れてはいけません。
デジタルトランスフォーメーションにおけるCIOの役割は、データが継続的な改善のための重要な通貨になるにつれて大きくなっています。IT戦略は、従来の必要なビジネスコストという位置づけから、今や産業組織の基本的な収益の原動力となっており、CIOはサステナビリティ(持続可能性)と成長の中心的役割を担っています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現することは、象を食べるようなものです。食べる際には一口サイズに切り分けなければなりませんが、常にそれが象であることを忘れてはいけません。
デジタルトランスフォーメーションにおけるCIOの役割は、データが継続的な改善のための重要な通貨になるにつれて大きくなっています。IT戦略は、従来の必要なビジネスコストという位置づけから、今や産業組織の基本的な収益の原動力となっており、CIOはサステナビリティ(持続可能性)と成長の中心的役割を担っています。
CIOの課題
CIOにとっては、チャンスに満ちたエキサイティングな時代です。しかし、成功するためには、克服すべき大きな課題が残っています。課題の中でも特に重要なのは、2つの問題です。1つ目は、「デジタルファースト(データに基づいた決断を優先する)」の文化を醸成し、それに対して経営陣をうまく巻き込むこと、そして2つ目は、それによって得られるリターンを明確にしてデジタルトランスフォーメーションのビジネスケースを作ることです。
この2つの問題は、デジタルトランスフォーメーションに存在する機会の大きさ、つまり「象の大きさ」を物語っています。中規模から大規模の企業の多くは、すでに何らかの形でDXに取り組んでいますが、企業全体で見ると大規模な成功を収めている企業はほとんどありません。つまり、ほとんどの企業は、基礎段階の戦略的導入と、パイロット段階の戦術的導入(PoC (Proof of Concept: 概念実証))の2つのカテゴリのどちらかの段階にあります。
あちこちでパイロットを行なうことは意味がありますが、それは食べなければならない象の一口サイズのようなものです。
ビジネスケースを証明するためにパイロットを実施する企業にとって問題となるのは、パイロットが成功するか失敗するかの問題になりがちなことです。実際のところ、単独のパイロットでは、企業のデジタル化への取り組みを実施することはできません。これでは、ビジネス全体で適切なチームを構築することも、さまざまな部門から適切なコミットメントと賛同を得ることもできません。これでは何の意味もありません。さらに、パイロットが失敗したり、成果が上がらなかったりしたらどうなるでしょうか? デジタルトランスフォーメーションの旅は終わりですか? それは産業界にとって正しいことなのでしょうか? 端的に言えば、もちろんそうではありません。
企業が成功するためには、トップフロアからショップフロアまでデジタルトランスフォーメーションに取り組む必要があります。
人の変革
デジタルトランスフォーメーションすなわちデジタル変革は、人の変革であると例えられることがよくありますが、この考えは人間の可能性を広げるというロックウェル・オートメーションの理念と一致しています。
人を中心としたアプローチが重要なのは、大きく分けて2つの理由があります。第一に、デジタルトランスフォーメーションは文化の変革を促すものであり、企業全体、全従業員の気持ちを同じ方向に向けさせる必要があるのです。第二に、これに関連して、人がより効率良く仕事をするために導入するデジタル技術を選びテクノロジソリューションを設計することが重要で、技術を導入すること自体が目的ではないのです。
言っていることは分かった、そうすればうまくいくのだと思われた方もいるかもしれません。でも、同時に「どうすれば関係者を巻き込むことができるか」、「どうすれば「デジタルファースト」になれるのか」、「どうすればビジネスケースを作れるか」という疑問も出てくることでしょう。
実際のところ、これらの疑問への明確な答えはありません。ただ、ロッククェル・オートメーションが自分たちで歩んできたデジタルトランスフォーメーション(DX)の経験は何かのヒントになるかも知れません。ロックウェル・オートメーションは、産業界のデジタルトランスフォーメーションを支援するオートメーション技術や情報技術のベンダーであると同時に、メーカなのです。
ロックウェル・オートメーションのDXの歩み
ロックウェル・オートメーションがうまく関係者を巻き込むことができた要因は、これまで私たちが気を配ってきたコアの部分と基本理念(安全・品質・サービス・コスト)から逸脱しないプランを立てたことにあります。こうしたコアの観点から「どうすればこれらを改善し、変革することができるか」を常に自問自答しました。そして、立てた計画の実行を評価する指標として、コア以外の新しい側面を取り入れることはしなかったのです。そうすることで、従業員達は普段の業務の延長としてDXを受け入れることができたのです。私たちは、製造業を再発明したわけでも、新しい評価基準や新しい取り組みを行なったわけでもありません。この意味で、デジタル技術は、一緒に構築するためのもう1つのツールでした。
私たちには継続的な改善を行なう文化があったので、それも役立ちました。しかし、デジタルツールを従業員の手に渡したとき、私たちは文化を変えようとしたのではなく、同じ文化を新たなレベルに引き上げようとしたのです。ここでの教訓は、むやみに新しいビジョンやツールを押し付けるのではなく、普段の延長線上にDXを据えることが非常に重要であるということです。これまでのやり方を継続しつつ、デジタルツールを使ってより良いやり方をすることです。
ネットワークであれ、セキュリティであれ、データ統合であれ、基礎的なものが必要になることはよくありますが、それは将来的に必要となる基礎であり、将来を見越した作業であるため、将来のゴールの根幹となる反面、短期的なリターンを示すのは難しいことがあります。そのためには、自社の目標をよく理解し、その目標に対して経営陣の賛同を得て、基礎的な要件を正当化することが必要です。
当社のデジタルトランスフォーメーションの目的は生産性の向上でしたが、それによって可能になったことは、とりわけリードタイムの改善でした。つまり、注文をより早く完了させることで、より良い顧客サービスを提供できるようになったのです。このような勝利は、計画されたものではないかもしれませんが、非常に大きな価値があります。
ビジネスケースの作成
コンサルティング会社では、例えばお客様がアジャイルファクトリになるためのビジネスケースを作ることに問題はありませんが、ビジネスケースを予算に反映させることが問題になります。例えば、ビジネスケースでは、IT部門のコストが大幅に増加して予算が膨らむ一方で、基幹業務部門では同時期にコストが削減されている場合があります。デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業は、サイロ間の調整を行ない、短期的な思考でリソースを奪い合わないようにする必要があります。
ここで、最初の話に戻りますが、C-suite全体、そして会社全体を巻き込むためには、「ハート&マインド」が必要です。イノベーションを組織全体に広げることが重要です。最高のアイデアがどこから出てくるかわかりません。重要なのは、最大の資産である人間が、イノベーションを起こし、アイデアを前進させるためのツールや方法を持っていれば、大きな違いを生み出すことができるということです。
では、どのようにすればデジタルトランスフォーメーションのビジネスケースを証明し、デジタルファーストの文化を創造し、上級管理職を巻き込むことができるのでしょうか。
「パイロットパーガトリー」から脱却してください(まだ象であることを忘れないでください)。接続性とセキュリティの基盤を整えること。そして、何よりも重要なのは、デジタルトランスフォーメーションを、人間の変革と人間の可能性というレンズを通して見ることです。
デジタルトランスフォーメーションを成功させるためのナビゲートについては、経営陣の視点ページで詳しく説明しています。このページでは、ロックウェル・オートメーション、お客様、およびパートナからの洞察と専門知識が紹介されており、人材、プロセス、および技術を統合して、より良いビジネス成果を達成するのに役立ちます。
公開 2021/05/26
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