お客様へのご提案
自動車産業はビッグデータに出会うのが初めてではありません。何十年にもわたって、自動車メーカは保証クレームや保守レポートからデータを収集して分析し、消費者体験、販売店のパフォーマンス、車両品質を向上させるために、よりスマートでよりコネクテッドな車両の開発を進めてきました。
このような動きが世間の注目を浴びる一方、自動車製造メーカと部品製造メーカがデジタルトランスフォーメーションとスマート技術の採用を進める中で、プラントフロアのビッグデータも増大しています。製造スペースの課題は、スマートな資産が生成する膨大な量のデータを、短期的/長期的なパフォーマンスの向上に最適に活用するにはどうすればいいかということです。
正しいサイズの選択
クラウドベースのサービスと分析プラットフォームがスマートデバイスと共に成長し、製造メーカはデジタル投資の価値を簡単に取り込めるようになりました。また、自動車メーカの中には、クラウドベースのプラットフォームを採用して、データを収集、分析し、強力なビジネスインテリジェンスに変換しているところもあります。
しかし、このような進歩にも関わらず、多くのメーカが、プラントフロアでリアルタイムのパフォーマンスゲインを進めるための情報をオペレータに提供するのに苦労しています。
なぜでしょうか? クラウドベースのプラットフォームにデータを送信するのは、ビジネスレベルの分析や、タイムラインにもっと余裕のある企業レベルの意思決定に適しています。しかしながら、分析タグが加えられた過剰なネットワークトラフィックは、プラントフロアで是正措置を行なうことのできるステークホルダに、状況に当てはまったタイムリーな情報を提供するのを妨げます。
つまり、「分析と制御システム間の情報の循環」を早く閉じることができず、ただちに効果が現れないのです。
スケーラブルな分析: 末端での最適化を早める方法
スケーラブルな分析プラットフォームは、分析およびマシンラーニング機能を情報のソースとプラントレベルの意思決定者の最も近くに埋め込むことで、ビッグデータとプラントフロアとの間で情報を素早く循環させることができます。
例えば、標準の自動車組立工場では、マテリアル・ハンドリング・コンベアのモータを制御するのに、可変周波数ドライブを使用しています。最新のACドライブは、モータの機械部品と直接的に相関のある出力トルクと電流を継続的にモニタします。ドライブは、パラメータが制限値を超えると警告を出すよう設定できます。さらに、温度センサ、振動センサ、その他のセンサがギアボックスの状態に関する重大な情報を捕捉して報告します。
これらのパラメータやその他の動作パラメータの継続的なモニタと分析により、ギアボックスとベルトの摩耗や滑り、またはモータベアリングや巻線の問題を、予期しないダウンタイムが発生する前に予測できます。しかしながら、最適なメンテナンス戦略では、このような分析をタイムリーに可視化する必要があります。
この新しい分析ソリューションが、デバイスレベルでの1つの答を提供します。プラグイン機器で納品されるこのソリューションは、産業ネットワークに接続してACドライブや状態センサなどの資産を発見します。生成されたデータを、構成済みの健全性ダッシュボードと診断ダッシュボードで使えるデータに変換して、分析を行ないます。
故障の因果関係などのデバイスの相互関連性に関する情報が機器によって明らかにされると、配備されているシステムの理解が進み、規範的な推奨事項を提示できるようになります。例えば、最適なパフォーマンスを維持するためにドライブの再設定が必要な場合は、ユーザのスマホやタブレットに「アクションカード」を送信します。
最終的には、この規範的なアプローチにより、メンテナンスチームがより先を見越した保守を行ない、潜在的なダウンタイムを最小限に抑えることができます。
自動車製造の大変革
スケーラブルな分析は、ディスクリート自動車アプリケーションのゲームチェンジャーです。また、この変換アプローチでは、マシンラーニングが製品の品質と生産速度に大きな影響を及ぼす複雑な連続プロセスに不可欠になることが見込まれます。
一例をあげましょう。角柱形ポーチセルバッテリの生産です。角柱形ポーチセルは提供できる体積当たりのエネルギーが円筒形バッテリよりも大きく、電気自動車市場でのけん引力を獲得しつつあります。
ただし、角柱形ポーチセルの生産には、高度なモーション、精度、連続プロセスが必要です。このタイプの動的な多変数環境では、プロセスの最適化が課題です。しかし、これは真に、スケーラブルな分析およびマシンラーニングのための課題です。
動的な数学的モデルを使用して、システムは学習によって1つの変数が別の変数に及ぼす影響を認識し、最適な結果を得るためにその後の動作を自動的に調整します。それと同時に、システムは継続的な品質のモニタと先を見越した調整を可能にする、SPCチャートなどの重要な分析結果をオペレータに提供できます。
スケーラブルなアプローチがデバイスを越えて拡大し、マシンレベルとプロセスレベルで適用できることを頭に入れておいてください。また、このプラットフォームをMES (製造実行システム)、OEE (総合設備効率)、およびその他の製造業務および分析システムと統合し、生産スケジュールやエネルギー管理などの多様なエリアで、企業全体の最適化を簡単に推進することができます。
スケーラブルな分析と、データソースでどのようにしてより最適な決定を始めるかについては、こちらをご覧ください。
共著: トッド・モンパス、製品マネージャ、情報ソフトウェア、ロックウェル・オートメーション
公開 2017/12/20