進化する倉庫業界
倉庫業界における不確実性は今に始まったことではありませんが、現在の市場圧力は、かつてないほど複雑なものとなっています。予測不可能な需要、フルフィルメントや流通ニーズの変化、広範な労働力不足、プロジェクトの納期短縮は、世界中の倉庫に試練を与えています。これらの課題を克服するために、倉庫は今すぐ適応する必要があります。また、長期的な成功を確実にするためには、現在の状況を超えて将来を見据えることも重要です。過去の専用倉庫とは異なり、現代の倉庫は今日の課題だけでなく、明日の課題にも適応できなければなりません。
「現代の倉庫」とは、インテリジェントで、データ駆動型で、柔軟性があり、既知の課題に対処し、新たな課題に対応するために拡張できるものです。オートメーションは、このモダンなアプローチを可能にする中核です。その上で、倉庫を現在および将来の課題に効果的に対応させるために、洞察と分析のためのデータ活用能力と資材移動の最適化という2つの重要な重点分野があります。
洞察と分析のためのデータ活用
データを活用することは、最新の倉庫の成功に不可欠です。運用システムからのデータは、倉庫オペレータがプロセスをよりよく理解し、いつ、どこで、どのように改善を行なうべきかを特定するのに役立ちます。しかし、データをビジネス成果を促進する価値ある洞察に変換することは、「言うは易く行なうは難し」です。複数のベンダーから設備が提供されるため、倉庫データは断片化され、サイロ化されることが多く、一貫性のある使用可能な情報フローに変換することが困難です。さらに、データは標準化されていないさまざまな形式で存在することが多く、集計して分析することはほぼ不可能です。
共通のデータ戦略を採用することは、運用データのパワーを活用するための鍵です。共通のデータモデルは、機器が同じ「言語」(同じプロトコル)と同じ「単語」(同じデータラベリング)を使用してデータを識別することを保証します。共通のデータモデルは、それを作成し分析するための適切な専門知識と相まって、倉庫が運用データを最大限に活用し、強力な洞察を得ることを可能にします。
共通のデータ戦略があり、システムが接続されていれば、高度な分析を使用して改善を推進することで、データを活用することができます。例えば、デジタル・ツイン・ソフトウェアを使用してパフォーマンスを最適化したり、倉庫実行システム(WES)を導入して注文処理を合理化したり、AIを活用した予知保全ソリューションを採用して稼働時間を増やしたりすることができます。分析をこれらのような先進テクノロジと組み合わせることで、倉庫は今日の予測不可能な市場で優位に立つことができます。
共通のデータ戦略と接続されたシステムとともに、倉庫はサイバーセキュリティも優先しなければなりません。接続性と自動化が進むにつれて、倉庫のサイバーセキュリティリスクも高まっています。今日の脅威の状況では、サイバー攻撃はもはや「起こるかどうか」ではなく、「いつ起こるか」が問題なのです。接続性が高まるにつれて、サイバーセキュリティに対して積極的かつ全体的なアプローチを取り、脆弱性を確実に特定して対処し、企業に対する潜在的なリスクを軽減することが重要になります。
資材移動の最適化
現代の倉庫には柔軟性も必要であり、これは資材の移動を最適化することから始まります。A地点からB地点へ資材を移動させる最適な方法を決定し、必要に応じて経路を変更できる柔軟性を持たせることで、倉庫はボトルネックを減らし、多様なフルフィルメント要求に対応できるようになります。柔軟性を高めるには、新しい倉庫全体をエンド・ツー・エンドで自動化することも考えられます。また、既存のインフラを最新化することも考えられます。いずれにせよ、考慮すべき点として、1) オートメーション技術による柔軟性の実現、2) データ主導の最適化のためのAIと分析の活用という2つが存在します。
オートメーション技術によって柔軟でモジュール化された資材の移動を可能にすることは、需要の変化に適応するために必要なレジリエンス(弾力性)を構築するための鍵です。日々、倉庫は需要の変動に適応する能力を必要としています。柔軟性のために設計されたシステムと機器を使用することで、倉庫オペレータは、日々の変動に基づいて動的に経路を変更することができます。倉庫はまた、ピークシーズンの急増のようなイベントに最適化するために、先を見越して効率的な調整を行なうことができなければなりません。モジュール式ソリューションがあれば、需要の大きな変化に先駆けてレイアウトを変更し、コンベアを再構成することがより迅速かつ容易になります。
テクノロジの獲得にすぐに飛びつきたくなるかもしれませんが、一歩下がって全体像の成果を考えることが重要です。いったん望む成果を一致させれば、次にどのオートメーション技術がこれらの成果を最も促進するかを決定することができます。例えば、ピッキングの柔軟性と効率を高めたい倉庫では、インテリジェントなピッキングとナビゲーションにより、固定された所定のルートを必要としない自律移動ロボット(AMR)が答えとなるかもしれません。コンベアの柔軟性を高めようとする倉庫にとっては、リニア搬送システムが解決策となり得ます。また、オートメーション技術そのものだけでなく、エンド・ツー・エンドのシステム最適化も、資材移動のアプローチが特定のニーズに合うことを確実にするために必要です。
柔軟性の高いモジュール式倉庫システムを設計するためには、資材移動の最適化に対するデータ駆動型のアプローチが不可欠です。資材移動の最適化とは、A地点からB地点への資材移動の最適な方法を決定することです。一般的に、これは製品をピッキングする順番や、異なる製品ミックスやオーダーサイズに対して最適化する方法を考え抜くことを含みます。しかし、適切なデータがなければ、このような決定を下すことは困難です。
倉庫業務のデータを集約し、共通のデータモデルでフィルタリングすることで、これらの意思決定に役立つ貴重な洞察を得ることができます。デジタル・ツイン・ソフトウェアのようなAIと分析ソリューションは、サプライチェーンをモデル化し、さまざまな設計シナリオをシミュレーションすることで、資材移動システムをさらに最適化するのに役立ちます。
ロックウェル・オートメーションとの提携による現代の倉庫戦略の構築
ロックウェル・オートメーションは、インテリジェントで柔軟性が高く、データ駆動型の現代の倉庫で、お客様が現在と将来のニーズに対応できるよう支援することに専念しています。ロックウェル・オートメーションは、データファーストの視点で最新化を推進し、膨大なパートナエコシステム、ソリューション、サービス、コンサルティングの専門知識によって、お客様のデータジャーニーをサポートします。当社の専門家は、予防保全の最適化、デジタル・ツイン・エミュレーション・ソフトウェアの導入、倉庫の完全自動化の実現など、お客様の現代の倉庫のビジョンを大規模に実現するお手伝いをします。私たちは、お客様の企業全体でエンド・ツー・エンドの最適化を実現し、明日がどのような状況であっても対応できるようにします。