過去100年の間に、製造業がどのような進化を遂げたかを振り返ると、驚くばかりです。組立ラインの導入以来、製造業はより少ない手作業でより多くのものを生産するための新しい方法を見つけようと努力してきました。その結果、機械化、自動化、そしてデジタル化へと進化してきました。

したがって、変革は何も新しいことではありません。この変化の波は、これからの製造業の時代を定義するものです。製造業のリーダは、よりスマートで適応性の高い生産環境を構築することに重点を置いています。これを実現するには、高度にインテリジェントで統合されたエンド･ツー･エンドの生産システムを開発し、技術革新のビジネス上の利点をもたらすコネクテッドエンタープライズを構成することが必要です。設計、シミュレーションから自動化、オペレーション、メンテナンスに至るまで、一貫したシステムを構築する必要があります。

デジタル化の中核となるのは、データの活用によって、エンドユーザであるお客様、工場作業者、パートナ、その他あらゆる企業の新興デジタルエコシステムの関係者にまたがる各ユーザにより多くの情報を与え、つながった体験を提供することです。

インテリジェントソリューションの役割

スマートマニュファクチャリング技術の採用は、従来サイロ化されていた情報資産を製造ライフサイクルを通じて統合する大きな機会を提供します。これは、CAD、CAE、PLC、HMI、MES、ERPなどの既存の製造機能に、より深いインテリジェンスの層を追加し、エッジ･ツー･クラウド分析、IIoT、AR、機械学習などの新しいテクノロジの導入を可能にすることで実現されます。これらのアプリケーションを接続することで、各ユーザや関係者が豊富なデータを利用できるようになり、その過程で、より多くの情報に基づいた次のステップのアクションが可能になります。

スマートマニュファクチャリング環境とは、エンドユーザを中心に据え、お客様が何を求めているかをより深く理解し、継続的な改善につながるインテリジェントな情報分析を導入できるようにすることを意味します。リアルタイムキャプチャ、診断レポート、アプリケーション構築の採用は、クリーンでリアルタイムなデータに基づき、潜在的な生産課題に対処するための、より迅速なアプローチを生み出すことで、この目標をサポートします。さまざまなアプリケーションを接続することで、関係者は製品のばらつき、品質ギャップ、サプライチェーンの課題などの問題に対して、より積極的に対応することができるようになります。

エンドユーザのお客様にとっては、この統合されたデータ駆動型のプロセスにより、一連の有益な成果がもたらされます。例えば、より良い品質の製品、より信頼性の高いオペレーション、敏捷性と市場投入時間の向上、計画外のダウンタイムや資源の浪費などのリスクの低減などです。また、このようなアプローチは、業界全体のCO2削減への取り組みに貢献し、サーキュラーエコノミー(循環型経済)やサステナブル(持続可能)な製品への道を開きます。

個々の製造メーカにとって、サステナビリティの向上は供給側と需要側の両方にメリットをもたらし、長期的に単価を下げる戦略をサポートすると同時に、気候変動に対する人々の感性に合った製品を提供することができるのです。

正しい変革のあり方を模索する

多くの製造業にとって、変革への道を歩むことは困難なことです。ユーザ主導のアプローチが競争力強化の核心部分であることは認識していても、生産環境と業務の最新化のプロセスには、一連の潜在的な落とし穴が存在します。例えば、次のようなものがあります。

• クラウドへの移行における課題。クラウドファーストを実現するには、マルチクラウドのオーケストレーション、バックアップ、データセキュリティ、コンプライアンスなどの分野で一貫性のあるアプローチを構築するために、プロトコルとプロセスを再定義する必要があります。
• デジタル成熟度の評価。システムやプロセスをデジタル化できるからといって、今すぐデジタル化する必要があるわけではありません。例えば、スタッフのスキルアップのための時間を確保する、ITセキュリティのポリシーや手順にギャップが生じないようにする、機械装置メーカ(OEM)やサプライチェーンパートナ含むパートナ企業との一貫したアプローチを開発するなどの理由から、企業の一部の要素では、変革プロセスに長い時間が必要とされます。
• TTV (time to value: 新規顧客が製品の価値を実感するまでにかかる時間)に関わる期待値を設定すること。デジタル化は、製造組織のあらゆる領域に浸透する、数年にわたる取り組みです。できるだけ短期間で利害関係者に変化の価値を示すことができれば、幅広い賛同を得ることができ、惰性で動いてしまうリスクも克服できます。

このような分野では、より計算され、よく調整されたアプローチをとることで、取られた変革のアプローチがビジネスにとって正しいものであることを確認することができるのです。

お客様の変革のお手伝いをします

ロックウェル･オートメーションでは、「製品のためのお客様を見つけるのではなく、お客様のためのソリューションを見つける」という原則のもとに活動しています。これは、製造メーカがコンサルティングと成果ベースのアプローチをとる会社と協力する必要があることを理解しているからです。この洞察に基づくアプローチは、個々のサイロ化した技術をそれ自身のために押し付けるリスクを回避するのに役立ちます。そのために、私たちは3つの基本原則を掲げています。

1. 共感。正しいアプローチを理解し、社内の課題を解決し、プロセス全体にわたって真の協力者となるために、彼らのビジネスの構造に深く入り込みます。
2. コンサルティング。お客様の既存のビジネス、デジタルの成熟度、変革のロードマップの次のステップに進むための課題を深く理解すること。
3. 成果重視のアプローチ。必要な時間をかけてお客様の目標や価値を正しく理解し、テクノロジの選択がお客様の望む結果と一致するようにします。