ここでは、各領域を発展させ、それらを使って長続きする予知保全プログラムを構築する方法をご紹介します。
人: 予知保全はここから始まる
「予知保全の計画が書類上うまくいっても、実際に作業をする人たちの賛同が得られなければ意味がありません」と、Fiix®のソリューションエンジニアであるジェイソン・アファラは言います。
予知保全の柱となるプログラムには、それを構築し、維持するための人材が必要です。データの解釈も必要です。技術には設計と管理が必要です。そのため、組織内の全員がPdMの仕組み、重要性、そしてそれを成功させるために何ができるかを理解する必要があります。
予知保全に伴う変化について、施設の人々に理解してもらうことは不可欠ですが、必ずしも容易ではありません。メンテナンスチームから賛同を得ること、そして施設内に成功の文化を創り出すことが重要です。
データ: 過去・現在・未来のつながり
予知保全プログラムを成功させるためには、情報が必要です。
「データがなければ、何も予測することはできません。例えば、ポンプやコンベアの正常な状態を把握できなければ、異常の特定や予測はできません」と、SensrTrx社のCEOであるブライアン・サポット氏は言います。
しかし、量が多ければ多いほど、質も求められます。
重要なのは、工場現場から送られてくる正しい情報です。
データは、現在の資産性能と将来の資産状態をつなぐものです。そのため、スループットから故障モードに至るまで、すべてが常に更新されていなければなりません。また、これらの数値は正確でなければなりません。もし、システムごとに違っていたら、プログラムが狂ってしまいます。
プロセス: 人と設備主導
人のプロセスは、メンテナンスチームの仕事の進め方に関わるものです。このプロセスでは、スタッフが機械、データ、お互いに、その他すべてとどのように相互作用するかを概説します。
「誰が何を担当しているか、データとタスクの確認頻度、コミュニケーションの取り方、タスクの計画、エスカレーション、完了の仕方などを理解する必要があります」と、ジェイソンは言います。
機器のプロセスに関しては、機器がどのようなプロセスを完了し、どのように資産データを取得し、そのデータをどのように将来の性能にマッピングするかを知ることが極めて重要です。
簡単に言えば、プロセスとは、メンテナンスチームが成功するために毎日行なう必要のあることを計画し、実行する方法です。効果的な予知保全プログラムは、操業全体を予測可能にし、労働時間から資産パフォーマンスまで、すべてを最大化するのに役立ちます。
ツールと部品: 予知保全プログラムを成功させるためのポイント
ジェイソンは次のように述べています「予知保全は新しいものではありません。20年、30年前と現在の違いは、より少ないコストでより良いメンテナンスを行なうためのツールと部品に関する理解があることです。」
ツールとは、赤外線カメラなど資産の状態を測定するための機器や、機器の検査や修理に使用する道具のことです。部品とは、機器を構成するさまざまなコンポーネントのことです。
機器: すべての機械が予知保全のために作られたわけではない
予知保全プログラムを設計する際には、どの機械が故障を予知できるかを知ることが重要です。
「予知保全プログラムに適した資産は、故障する前に問題を発見するのに十分なリードタイムと良好な状態データを提供するものです」と、ジェイソンは言います。
また、PdMプログラムの構築には時間と費用がかかるため、故障モードが最もよく観察できる最重要資産に予知保全を適用することを推奨しています。
テクノロジ: すべての要素を結びつけるもの
テクノロジは、予知保全の他の柱を管理、促進、最適化するのに役立ちます。
成功に不可欠なのは、どの製品がいつ稼働しているか、すべての活動のコスト、最後にメンテナンスが行なわれたのはいつか、などを把握することです。
ERPからMESシステム、CMMSソフトウェアまで、予知保全プログラムを管理するために使用できるテクノロジはたくさんあります。
予知保全プログラムは、すべてを解決するものではありません。しかし、より信頼性の高いオペレーションを実現することで、組織の全員が成長し、より効率的になるなど、導入することで多くのメリットがあります。
readwrite.com[1]によると、ROIが10倍、メンテナンスコストが25~30%、故障が70~75%、ダウンタイムが35~45%削減されるという驚くべき経済効果も得られるといいます。
そのためには、メンテナンスの基本をしっかり身につけることが重要です。それらの基礎が強固であれば、勝利の戦略を手に入れることができます。
[1] Big Data Management Solving Pinpoint Problems, Oct. 6, 2019