お客様へのご提案
製造メーカは、一般にプラントの売上の10%(中央値)に相当する年間数百万ドルもの資金を機器に投じていますが、その多くは投資の成果を最適化できていないのが実情です。
だからこそ、業界をリードする企業の幹部陣は、自社の資産をコネクテッドエンタープライズのフレームワークに組み込むことに注力しているのです。これを通じて彼らは、機器の動作(製品間の差異、エネルギー消費、機械の信頼性、保守要件など)をリアルタイムで把握し、生産に影響が及ぶ前に潜在的な問題を予見してこれに対処できます。このような取組みは、生産(品質、コスト、納期、安全)の改善や、機器のライフサイクルの延長、収益性の向上につながります。
さて、資産管理がもたらす機会とはどの程度のものでしょうか。製造プラントにおける機械の可用性(稼働率)は予定された稼働時間の87.5%(中央値)となっており、これは一般的な操業環境において8回に1回は機械が想定通りに稼働していないことを意味します。それどころか、多くの製造メーカはさらに深刻なダウンタイムに悩まされています。プラントの30%が機械の可用性を75%と報告しており、これでは4回に1回は機械を使用できないことになります。
これらの数値は、機器の故障に起因するプラントの生産性低下で失われる数百万ドルを反映していますが、過剰なエネルギー消費や、機器に障害が発生して再起動した場合の品質低下といった関連事象からは、別途数百万ドルの損失が生じます。この状況は、機械の信頼性や良質な製品の生産量、生産能力などの測定基準となる総合設備効率(OEE)が80% (各種プラントにおける中央値)にとどまっているという事実にも表れており、大幅な改善の余地があると言えます。
資産管理に関するこれらの数値を見れば、プラントのメンテナンスコストの10% (中央値)が予定外に発生していることも何ら不思議ではありません。しかし、コネクテッドエンタープライズが確立されていれば、機械が停止する前に機器や組込みデバイスから警告信号が発せられるため、保守作業も予見的に実施できます。
また、それ以上に重要な価値として、リアルタイムのデータがまさにリアルタイムで業務に影響を及ぼすという点が挙げられます。最近の導入事例では、ある化粧品製造メーカがロックウェル・オートメーションのFactoryTalk® Metricsソフトウェアをインストールし、これを活用してプラントフロアにおける実際の業務状況を正確に反映するレポートの作成に乗り出しました。
同社幹部はこのソフトウェアとインテリジェントデバイスを使用して、機器の稼働中に生産データをモニタおよび収集、分析し、OEEを劇的に向上させることに成功しています。これによって、それまでダウンタイムに悩まされていた生産ラインの質も改善されました。この施設のエンジニアは、現場で適宜PDCA (計画、実行、検証、調整)を実践するようになりました。これには、問題領域を特定のうえ、モニタしている機器の将来的なOEEを計算して視覚化するようFactoryTalkを構成したことが役立っています。アラームを受取ったオペレータは停止の根本原因を素早く特定し、必要なデータにアクセスしてソリューションを検討できます。
また、コネクテッドエンタープライズでは全社規模で情報を収集できるため、エネルギー消費や品質の傾向、保守の実施履歴に基づいて将来の資産要件を予測できます。そして製造エンジニアは機器のデータと需要の見通しを併せて検討し、次世代の機器を定義することができます。研究開発部門でも、設計エンジニアがこのデータを活用し、プロトタイプ作成と製造がより簡単な製品を考案することが可能です。
コネクテッドエンタープライズは、即時的な収益の向上をもたらし、さらに将来の競争力につながる差別化をも可能にします。過去の資産管理方法に固執する理由はもはやありません。
公開 2015/11/02