製造業のような設備投資の多いスタートアップ企業にとって、早期にレジリエンス(回復力)と安定性を確保することは、企業の将来の成長性に直結します。製造業のスタートアップ企業が直面するこうした課題は、サプライチェーンのボトルネック、経済の不確実性、労働者不足など、最近の業界全体の問題によって増幅されています。
しかし、デンマークに本社を置く紙ボトルメーカであるパボコ社は、このような圧力にもかかわらず、しっかりと立ち向かっています。同社は、製品と市場の適合性を確立し、ジョイントベンチャーのオーナシップに支えられながら、増え続ける顧客に一貫して製品を提供してきました。
サステナブル(持続可能)なパッケージングに対する消費者の関心の高まり(今後も高まる見込み)など、いくつかの追い風もあって、同社の成長は続いています。パボコ社は、ロックウェル・オートメーションの支援により、世界市場で不足する部品の調達という困難な状況を切り抜け、この増大する需要に応えています。
日用品に革新をもたらす
パボコ社は、紙パルプメーカのビレラドコルスナス社とペットボトル製造専門企業のALPLAのジョイントベンチャーとして、2019年に設立されました。同社の目的はただひとつ、紙製ボトルのスケーラブルな製造プラットフォームへの転換を開拓することです。マスマーケットだけでなく、環境意識の高い消費者にとっても魅力的になっているバイオ/ペーパーベースの製品のトレンドを取り込んでいます。
しかし、そのビジョンを実現するためのステップには、いくつかの障害がありました。まず、先見性がありながら技術的に難しい製品を市場に投入するためには、新しい製造技術を採用する必要がありました。そのためには、研究、プロセス、スキルなど、信頼性の高い一貫した方法で技術を展開するための一連の検討が必要でした。
第二に、パボコ社は単価に厳しい目を向ける必要がありました。ボトリングは一般的に単価の低い産業であるため、新しい技術をいち早く採用しても、価格面での競争力が必要でした。第三に、新工程の運用にあたっては、従来のボトリングとは異なる不測の事態を想定して生産することが重要でした。例えば、原料に紙を使用するため、破損のリスクが高く、乾燥した状態で供給できるようにする必要がありました。
さらなる課題は、プロセスの自動化でした。パボコ社は製造技術の所有者であり、パッケージングの革新の専門知識を有しています。しかし同社は、プロセスを効率的に自動化するための最適なセットアップを見つける戦略なしには、成長への道が制限される可能性があることに気づいたのです。そこで、同社は専門機械メーカとロックウェル・オートメーションとパートナシップを結び、コペンハーゲン近郊にある同社初の生産施設向けに自動化された機械プラットフォームの開発をサポートすることにしました。
ロックウェル・オートメーションは100年以上の歴史がある世界中に事業展開しているメーカで、パボコ社はグローバルに活躍する新進メーカと、両社の成熟度は異なりますが、それぞれのパートナがもたらす専門知識や視点の違いもあり、このパートナシップはこれまでにも実り多いものとなっています。