背景
エア・ウィンドパワー社は、スペイン、ナバラを拠点とする定評ある企業で、風力発電機を設置して風力エネルギーをお客様に供給することに注力しています。
エネルギー業界で経験の長いエンジニアと専門家で構成される同社は、パンプローナから15km離れた小さな町、ムルアルテ・デ・レタに画期的な最先端100kW風力発電機の建設を開始しました。
この機械は、信頼性を最大化し稼働寿命中に生成されるエネルギーコストを最小化するという明確な目的を基に開発されました。
当初からエア・ウインドパワー社は、再生可能エネルギーの設置を専門とするボレアス社と協力し、ブレードの空気力学構造やメインコンポーネントの開発、それら要素の相互関係を含む機械の設計に専心しました。
同社は、風力発電機の運用と信頼性を検証するためにさまざまな技術的分析を実施し、数か月に及ぶテストとモニタを行なった後、風力発電機を商業発売するという次の戦略段階に入りました。これらは2つのモデルで入手可能になります。
1つ目のモデルは、強風環境に適しており、プロトタイプと類似しています。2つ目のモデルは、ロータの直径がより大きく、風の弱い地域に適しています。
エア・ウインドパワー社の目標は、スペインの風力エネルギー市場でシェアを獲得すると同時に、米国や英国などの海外市場に事業を拡大することです。
課題
エア・ウインドパワー社で開発された100kW風力発電機のプロトタイプは、最新の風力発電技術を使用して、近隣にある採石場の自家消費用に電力を供給します。
これには、最大の効率性と堅牢性を実現するために、固定片と、保守の不要なゴンドラ、継ぎ目のないグラスファイバーとカーボンのハイブリッドのブレード3枚によってタワーに負荷を伝達する極めて耐久性の高いパワートレイン、および増速歯車装置のない永久磁石多極発電機が搭載されています。さらに、エネルギー品質と単独での運用能力を最大限に高めるために、「フルコンバータBTB」パワーエレクトロニクスが統合されています。
このような技術要件があったことから、エア・ウインドパワー社は、25年以上にわたりロックェル・オートメーションの販売代理店となっているグローバルな電気ソリューション会社である、スメレック・ナバラ社に相談しました。
「当社では、すべてのキャビネットと回路、ケーブル配線の電気設計とAllen-Bradley®製品の統合を実施しました」と、同社再生可能部門営業マネージャのフリオ・ブスティージョ氏は述べています。この会社はまた、エア・ウインドパワー社に機械制御のための補助パネルも提供しました。
ブスティージョ氏は、「最大限の効率で予想外の停止を招くことなく風力発電機の動作を管理およびモニタできるようにするために、すべての電気コンポーネントと自動コンポーネントに電力を供給する」という課題をロックウェル・オートメーションに持ちかけたと説明します。この「予想外の停止を招かない」という特長はエア・ウインドパワー社にとって不可欠なものです。
ボレアスNT社のインダストリアルエンジニア兼CTOであるホセ・サンチョ博士は、「当社では信頼性の高い電気システムを設置して、機械を確実に運用することを希望していました」と、説明します。そのためのソリューションは、ヨーロッパとアメリカの安全規格UL 508Aに準拠する必要がありました。