お客様へのご提案
結果
- 旧式の包装機器にはダウンタイムや陳腐化のリスクが存在
ソリューション
- Logixコントローラ
- インテリジェントなマニュアル操作が可能なISA 101ユーザインターフェイス(HMI)パネル
- 24台のサーボドライブ
- CAMプログラミング
- インテリジェントな処方システム
- アラームシステム
- 内蔵された電気設備
結果
- 市場投入までの時間を短縮。閉塞のリスクを低減。
- 資産の有効活用。空きスペースの有効活用。
- 操作性の向上。ラインオペレータへの指示と文書化の改善。
- データフロー/活用の強化。オペレーションの可視性が向上し、IoT機能の追加が可能になる。
変革の時
健全な評価を得るには、何年もかかるものです。お客様の信頼を得るためには、一貫性、信頼性、そしてブランドプロミスへのコミットメントが必要です。デンマークのメーカであるドラグスベック社は、その評判を100年以上に渡って磨き上げ、確固たるものにしてきました。1923年にティステズという町で設立された同社は、デンマーク国内外の業務用および小売用のマーガリン製品を製造しています。納入先には、大規模なベーカリー、スーパーマーケット、ケータリングビジネスなどがあり、それぞれのお客様を満足させるために、信頼性の高い製品流通に依存しています。
ドラグスベック社の供給の信頼性は、その製造と流通の堅牢さに基づいています。ティステズ工場の包装機械は17年間にわたって24時間稼働しており、毎週約400トンのマーガリンを生産しています。これにより、同社の顧客は、注文が迅速かつ正確に処理されるという強い信頼を得ることができ、それがお客様自身の在庫管理や計画にも役立つのです。
レガシーリスク
ドラグスベック社が生産システムを導入してから17年が経過し、多くの変化がありました。今日の製造業は、機器の精度、コスト効率、安全を向上させる多くの革新的な新機能の恩恵を受けて、コネクテッドエンタープライズを目指しています。
同社の生産マネージャであるカーステン・ロッケダール氏にとって、ドラグスベック社が業界に遅れを取らず、将来の生産のために自らを位置づけることは重要なことでした。
既存の包装管理システムはビジネスに貢献していましたが、カーステン氏はある欠点に気付き始めました。ラインオペレータは包装作業の詳細を把握できず、リソースの非効率的な使用につながっていました。また、機械のサイズが大きすぎたため、工場現場が過密状態になり、安全上のリスクが生じていました。また、機械の構成部品の多くは老朽化しており、場合によっては製造中止になっていたため、新しい部品の調達や徹底したメンテナンスが難しくなっていました。
カーステン氏は次のように語っています。「ときにはeBayで部品を調達しなければならないこともあり、長期的に見てサステナブル(持続可能)ではありませんでした。」
目的に応じたレトロフィット
2019年後半、カーステン氏はシステムインテグレータであるピッカ・オートメーション社と、旧式の制御システムをどのように最新化できるかについて真剣に話し合いを始めました。その会話をもとに、カーステン氏は2つの実行可能な選択肢を提示されました。1つ目は、既存の機械を解体してまったく新しい生産ラインを設置すること。これは望ましいことではありますが、工場の予算を超えた大きなコストがかかります。
2つ目の選択肢は、より魅力的なものでした。それは、既存の機械を壊して交換するのではなく、ピッカ・オートメーション社とロックウェル・オートメーションの協力を得て、機械を全面的に改修するというものでした。既存の機械をベースに、最先端のコンポーネントを追加してラインを最新の基準に近づけ、必要なスペースを削減し、新しい機能が市場に出たときには継続的なアップグレードの可能性が生み出されました。
合意された方法は、数週間にわたってマシンをオフラインにし、その間はバックアップマシンを使って工場の生産を続けるというものでした。メインマシンはカスタムメイドの別室に移され、新しい部品が取付けられました。設置されたのは、Logixコントローラ付きの新しい統合安全PLC、インテリジェントなマニュアル操作が可能なISA 101ユーザインターフェイス(HMI)パネル、24台の新しいサーボドライブとCAMプログラミング、新しいインテリジェントな処方システム、オペレータと修理担当者を助ける新しいアラーム、そして内蔵された電気設備です。
これらの機械を組み合わせることで、ドラグスベック社の包装工程における制御、安全、データ収集のためのトータルソリューションを提供し、機械全体のサイズを大幅に縮小することができました。また、このソリューションでは、インテリジェントにプログラムされた制御を採用しているため、万が一、閉塞などの問題が発生しても、ソフトウェアサポートの必要性が最小限に抑えられます。
カーステン氏は次のように述べています。「このシステムを設計するにあたり、包装作業をより高度に制御することが非常に重要でした。既存のプロセスを危険にさらすのではなく、お客様に完璧なサービスを提供できるように改善したいと考えました。また、5年以上先の未来を見据えて、信頼性が高く、カスタマイズやアップグレードが可能なシステムであることも必要でした。」
2019年末に開始した本機の稼働停止期間は2カ月弱でした。改造されたマシンは2020年1月に稼働を開始し、スタッフが新しいインターフェイスや操作手順を理解するためのオンボーディング期間を設けました。
ピッカ・オートメーション社のプロジェクトリーダであるヤン・スコウゴール・ヨルゲンセン氏によると、機械をオフラインにすることで、広範囲なテストを行なうことができました。「最初にプロジェクトの計画を立てたとき、制御盤は工場の壁に固定されていて、オペレータが作業できるスペースは限られていました。そこで私たちは、機械を再構築し、制御盤を直接機械に取付けるために、機械を外に持ち出すことを奨めました。この方法により、部品をテストするのに必要なスペースが得られ、私たちが提供するソリューションが、ドラグスベック社が求める高い信頼性とより小さな接地面積を提供できることを確認することができました」と、述べています。
レトロフィットプロジェクトにはいくつかのリスクがありましたが、カーステン氏は彼をサポートするチームのおかげで安心して進めることができました。「ピッカ・オートメーション社とロックウェル・オートメーションの両社は、同様のプロジェクトを実施した豊富な経験を持っているので、リスクを最小限に抑えながらスムーズにプロジェクトを展開できるという確固たる自信がありました」と、彼は付け加えました。
将来に向けての準備
設置が完了してから半年以上が経過しましたが、その結果は非常に明るいものでした。ドラグスベック社では、マーガリンのブロックをはるかに高い精度でカットできるようになり、ブロック間のばらつきが30グラムからわずか3グラムにまで減少しました。この新しいソリューションは、従来の10倍の効果があり、週に2.1トンもの材料を節約できると同社は推定しています。また、製品の鮮度と見栄えを保つために、より高い品質とデザインコントロールで注文に応えることができるようになりました。
「私たちのお客様の多くは、マーガリンの消費者というよりも企業ですが、やはりプレゼンテーションはとても重要です。完全に包装された製品は、私たちがお客様に与えたい印象を与えてくれます。」
また、ドラグスベック社では、稼働時間の改善にも注目しており、以前のレベルよりも6〜8%向上したと推定しています。スタッフの反応も上々で、新機能が自分たちの生活を楽にしてくれることを実感しています。「処方システムは、変更や小さな調整を行なう機会を与えてくれ、それをシステムが記憶してくれます。以前はパッドに書いていました。これは日常生活にとても役立っています。
カーステン氏にとって、それ以上に重要なのは将来への備えです。ソフトウェアとハードウェアの両方のレベルで、機器の改造やアップグレードがはるかに容易にできるようになりました。また、部品交換のプロセスも改善され、必要な部品が入手できないというリスクが大幅に減りました。
カーステン氏はさらに次のように述べています。「競合他社に遅れをとることなく、継続的に機械を改良して新しい機能を獲得できるのは素晴らしいことです。また、不必要なダウンタイムのリスクが大幅に軽減されたことにも安心感を覚えました。」
「将来性の保証は最大の収穫です。同時に、アップデートと安定性のおかげで稼働時間も長くなり、結果的に高効率になりました。マシンの起動の速さだけでも、すでに大きな節約になっています。」
今、優先すべきことは、インダストリ4.0の計画を立て、新しいマシンが可能にする接続性とIoTの可能性を活用することです。
「今は調整の機会があるので、より良く走らせることができます。これまでは小さな改造もできませんでした。今はできるようになりました。マシンはより安定し、製品は均一になり、効率も向上しました。さらに、この機械のハードウェアは、新しい標準部品を使って修復することで将来性があり、長い耐用年数を実現しています」と、締めくくりました。
「私たちは、この先にあるすべての可能性に備えることができます。」
公開 2021/04/04