フリッツ・ヴァン・ルイージ氏は、水処理ソリューションの世界的リーダであり、ロックウェル・オートメーションと長年にわたって関係を築いてきたIDEテクノロジーズ社の一部であるIDE Americas社のOTマネージャです。IDE社は、自治体や産業界のお客様向けに高度な水処理プラントや海水淡水化プラントの開発、エンジニアリング、建設、運営を行なっています。
海水淡水化は、世界の淡水需要を満たすための重要な技術です。地球上の水のほとんどは塩分を含んでおり、平均塩分濃度は飲料水、工業用水、農業用水としては高すぎます。海水淡水化は、塩分と溶存固形物を除去し、水のサステナビリティ(持続可能性)を実現するための信頼できる代替水源です。
西半球最大の海水淡水化プラントは、サンディエゴ郡水道局が運営するカリフォルニア州カールスバッドにあります。受賞歴のあるこのプラントでは、IDE社とロックウェル・オートメーションの技術が採用され、約30万人分の1日5,400万ガロンのきれいな水を生産しています。
「私たちは海から水を採取して、塩分を分離し、ろ過し、適切なミネラルを加えて、優れた飲料水を生産しています」と、フリッツ氏は説明します。
このプラントでは、逆浸透(RO)膜を使った海水淡水化により、一連の半透膜を通して水を移動させることで、塩分やその他の不純物を除去しています。しかし、このプラントと海水淡水化業界全体にとっての大きな課題は、水中で装置が汚れるバイオファウリング(生物付着)です。これには透過性を妨げる膜の汚れも含まれます。
フリッツ氏は次のように述べています。「主に季節的な繁殖が原因です。バイオファウリングにより膜の寿命を縮め、コストも高くつきます。プラントが長期間停止することもあり、生産ができなくなります。」
デジタルツインと人工知能技術がコスト削減につながる
そこでIDE社は、膜の寿命を維持・延長するための運転・保守ソリューションとして、デジタルツイン技術を採用した。
フリッツ氏は次のように説明します。「カールスバッド工場の5年間のデータを使って、膜の脱塩とバイオファウリングに関連する現象をモデル化しました。それに基づいて、さまざまなメンテナンス方針を仮想的にテストし、システムの信頼性とコストに最適なものを見極めることができます。その結果、海水淡水化プラントでは、今後5年間で最大150万ドルのコスト削減が見込まれています。」
自動操縦制御システム
IDE社がサポートするカールスバッドやその他の大規模海水淡水化プラントのプロセス制御は、高圧ポンプやエネルギー回収などの共通圧力センターに基づいています。
これらのシステムは複雑で、その複雑さを管理するためにIDE社は自動操縦システムを構築しました。これが必要なパラメータです。これが私の望む生産量です。そして、これが各段階で達成したい回復量です。
フリッツ氏は次のように述べています。「そして、システムがそれを処理します。オートパイロットシステムにより、オペレータは手作業による操作のかわりに、品質管理に集中することができます。」多くのプロジェクトで、IDE社はプロセスの複雑性を処理する能力があるPlantPAx分散制御システムを使用しています。
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