課題
- 新しい製薬施設では、製剤工程の制御と可視化ソリューションの緊密な統合が必要でした。
ソリューション
- PlantPAx最新のDCS - 製剤エリアと標準HMIシステムの制御を提供。HMIシステムの変更とユーザのアクセスを一元管理する機能
- FactoryTalk AssetCentreソフトウェア - 変更管理および制御コードのバックアップ機能により、システムの全活動を追跡可能
- FactoryTalk Historian Site Edition - 施設の全領域からデータを収集し、履歴を残す
結果
- 導入コストの削減 - 情報ソリューションは、システムコストの削減と内部実装により、導入コストを100万ドル以上削減
- 施設のあらゆるエリアから50,000以上のタグを抽出することが可能
- 複雑さを増すことなく、複数の施設に導入可能
- 電子バッチレコードの基盤
無菌の呼吸器用医薬品を年間10億回近く製造している米国のある製薬会社は、ブローフィルシール製造のスペシャリストになっていました。これは、無菌区域で液体パック容器を成形、充填、密封する連続プロセスで、人手を介することなく行なわれます。
最近、同社は新たな契約機会を得るタイミングと判断しました。しかし、そのためには、生産能力を大幅に向上させる必要がありました。現在の注文には余裕がありましたが、それ以上に生産を拡大することはできませんでした。
そこで同社は、最新鋭の工場を建設することを決定しました。その工場では、製剤から包装まですべてを自動化し、レーザで誘導される車両などの新しい技術も導入して、製品が作られてからトラックに載せられるまで手付かずの状態にすることにしました。
よく練られた計画でしたが…
同社は、生産だけでなく、新しい施設の文書化も自動化したいと考えていました。FDAは医薬品メーカに対して、無菌状態に関する文書を保持することを要求していますが、同社はその要求以上のことをしたいと考えていました。具体的には、電子バッチ記録の導入に向けて生産が行なえるような、情報化された施設を求めていたのです。
同社のシニアR&Dエンジニアは次のように述べています。「私たちの施設が目指す方向性で最も重要なのは、データ、つまり処方の最初の段階から包装エリアまで、情報を引き出し、まとめる能力でした。そのためには、まず短期的に範囲を絞り、工場全体のデータを収集し、資産を保護する情報システムを施設に持たせる必要がありました。」
同社は、新施設の主な目標を2つ設定しました。1つ目は、ブローフィルシール生産エリアにつながる製剤工程の自動制御を実現することでした。もう1つは、製造や包装のユーティリティや機械データなど、さまざまなソースから情報を収集することでした。
しかし、設計の段階で大きな壁が立ちはだかりました。工場全体に導入する予定の情報システムには、さらにハードウェアが必要で、150万ドルの予算が2倍以上になってしまうのです。
エンジニアは次のように述べています。「管理しなければならないような複雑さを加えるという選択肢はありませんでした。また、最初に評価したシステムが、組織全体で使われているいくつかのソフトウェアと互換性がないのではないかという懸念もありました。以前使っていたからということで、このシステムを奨められたのですが、よく見てみると、このテクノロジは私たちには使えないと思いました。」
目の前にあるソリューション
新施設のためにかわりとなる情報システムを探していたところ、同社の既存施設にある発見がありました。具体的には、この施設には新しい包装機器にロックウェル・オートメーションのFactoryTalk® Historianソフトウェアが導入されており、ラインの効率をモニタしていました。
このソフトウェアは非常によく機能したため、同社は新しい施設の有力な選択肢として検討し始めました。
エンジニアは次のように述べています。「FactoryTalkソフトウェアがOSIsoft® PIヒストリアンソフトウェアの側面を利用していることがわかりましたが、これはチームが最初の制御および情報システムで気に入っていた点です。ロックウェル・オートメーションの他のソフトウェアを調べてみると、複雑さを増すことなく、必要な情報ソリューションを施設全体に展開できることが明らかになりました。このシステムには、実際に私たちの作業を大幅に簡略化するツールが備わっていました。」
チームは、製剤工程にPlantPAx®最新のDCSソリューションを選択しました。これは、タンクの圧力と混合を完全に統合的に制御し、製剤タンクのバルブを自動化するものです。
DCSはFactoryTalk View Site Edition視覚化ソフトウェアを使用し、オペレータに、製剤プロセス全体にわたるタンクレベル、温度、および圧力のモニタのための共通の外観と操作性を提供します。可視化機能はまた、メンテナンスのためのトラブルシューティングを容易にするためにネットワーク全体に分散され、PlantPAxシステムのアラームとイベントにより、作業者は活動を管理し、追跡することができます。
チームはPlantPAxシステムに変更管理アプリケーションを追加し、既存の施設における手動生産から、新しい施設における自動生産への移行を支援しました。FactoryTalk AssetCentre変更管理ソフトウェアは、製剤プロセスで使用されるすべての新しい自動化ソリューションのための単一のリポジトリとして機能します。
導入時に使用された制御、視覚化、パラメータ、構成ファイルを保存し、オートメーション資産とシステムの活動に加えられた変更を統合する機能を提供します。変更管理アプリケーションは、プログラミングの変更も記録し、役割ベースの許可を使用して、ヒューマンエラーと損失ダウンタイムのリスクを最小限に抑えることができます。
新しい施設では、FactoryTalk Historianソフトウェアも使用し、すべての生産情報をキャプチャして保存し、電子バッチ記録への取り組みを継続できるようにしています。また、検証済みの工場全体のヒストリアンデータベースにより、製造装置、工場のユーティリティシステム、新しい自動化された製剤工程からのデータの単一ソースを得ることができます。保存された情報は、クリーンルームの環境モニタリングデータの提供など、レポート作成のために引き出すことができます。
明るい未来
新しい生産設備で新技術を展開し、検証することが容易になったことは、同社にとって大きな励みになりました。
この高度な情報ソリューションは、無菌調合や充填、包装、HVACシステムなど、複数のソースからのデータを1つの場所に集約することが可能です。また、将来の電子バッチ記録のための基礎も築きました。5万件のデータタグを引き出すことができるため、オンデマンドでデータを収集・報告し、必要なときに関連情報を提供できるようになりました。
エンジニアは次のように述べています。「関連するすべてのデータを1つのレポートにまとめることが、この最新鋭の設備が実現することであり、現在のテクノロジはそのロードマップを示してくれているのです。オートメーションシステムの複雑さを軽減し、データソースを接続することで、システム全体から堅牢なデータを引き出すための最初のステップを踏み出しました。」
上記の結果は、当社がロックウェル・オートメーションの製品およびサービスを他の製品と組み合わせて使用した場合に固有のものです。具体的な結果は、他のお客様とは異なる場合があります。
FactoryTalkおよびPlantPAXは、Rockwell Automation Inc.の商標です。OSIsoftはOSIsoft, LLCの商標です。
公開 2015/03/12