産業用モノのインターネット(IIoT)が、業界で話題となっている単なる流行り言葉からビジネス上の優先事項となる中で、IIoTが具体的にはどのように使用されているのかを多くの企業が真剣に学ぼうとしています。また、企業はどうすれば最新技術によって自分たちのオペレーションにおけるIIoTを最大限活用できるのかも知りたがっています。
International Data Corporation (IDC)の「Global IoT Decision Maker Survey」によると、今現在、企業はIIoTのパイロット導入または概念実証の段階から、スケーラブルなIIoT導入の段階に移行しています。調査対象企業の約3分の1 (31%)で既にIIoTが導入されており、43%の企業では12カ月以内のソリューション導入を検討しています。
ここでは、IIoT導入のメリットをいっそう高めるいくつかの主な戦略を紹介します。
答えは分析にあり
産業用制御システムで使用されるIIoTデバイスの数は、急速に増え続けています。ネットワーク接続されたデバイスが増加すると共に、製造メーカがビジネス成果を上げるために管理し、活用できるようにするべきデータ量も大幅に増加します。
拡張性と柔軟性に富んだ分析は情報を状況に当てはめ、価値をデバイス、プラント、そして企業へと段階的にもたらします。
当社は、データをソースでリアルタイムに分析するべきか、またはクラウドに保存してより長期の検証を行なうべきかを調査しています。生データを状況に応じたデータに、可能であればソースで変換することが、価値のあるベストプラクティスとして認識されるようになっています。
例えば、ローカルのメンテナンス分析ではデバイスレベルのデータを使用して、重要なデバイスや機械の健全性に関するリアルタイムアラートを生成できます。これにより、スピードが重視されるプロセスに近いところで、より迅速な意思決定が可能になります。
コントローラや工場フロアのサーバといったエッジデバイスで行なわれるマシンレベルまたは工場レベルの分析を使用して、機械、プロセス、および工場の最適化が可能です。これらの分析は予知メンテナンス戦略の実施にも使用できます。
企業レベルの分析は、工場フロアの情報とビジネスインテリジェンスを統合します。これにより、複数の施設での運用上の生産性、または規格準拠の取組みが改善します。
セキュリティに必要な包括性
IDCによる調査への解答では、IIoTに関する一番の課題はセキュリティです(26%)。
これは、驚くべきことではありません。セキュリティ対策が取られていない旧式の機器から、悪意の有無を問わず脅威に対して脆弱で簡単にアクセスできる情報まで、直面している課題を考慮した場合、セキュリティは膨大な負担であるかのように感じられます。
この課題に向き合い、産業用セキュリティに対する包括的なアプローチを採用することで、知的財産やその他の資産を保護するための業界のベストプラクティスを企業に導入することができます。
包括的なセキュリティアプローチは、無料ツールを使用してセキュリティアセスメントを実施し、リスク領域と潜在的な脅威を洗い出すことから始まります。評価が完了したら、セキュリティの状態と、オペレーションを許容されるリスク状態にするために必要な抑制技術を把握する必要があります。
その後、産業用セキュリティプログラムに多層防御(DiD)セキュリティアプローチを取り入れます。DiDセキュリティは、保護のどのポイントも破られる可能性があるという原則に基づいています。DiDセキュリティでは、物理的、電子的、および手続き的な安全防御を使用して、企業全体に対して複数の保護層を作成します。
例えば、産業用ファイアウォールはデバイス間の悪意があると思われるトラフィックを検出、防御、および対応するために、セル/エリア・ゾーン・レベルに実装する必要があります。しかし、これらは多面的なセキュリティプログラムの一部に過ぎません。今現在、企業はリファレンスアーキテクチャ、パートナのエコシステム、および業界のベストプラクティスを活用して、セキュアなIoTシステムを実装しています。
最後に、信頼できるベンダーを選ぶことが重要です。ベンダーのセキュリティポリシーや実施状況を取寄せ、自社のセキュリティ目標達成を阻害するのではなく、支援してくれるベンダーであることを確認してください。
タイヤメーカの市場は、見通しが良好です。しかし、かつてないほどの課題に直面していることも事実です。
実際に、世界のタイヤ需要は2019年過ぎまで毎年約4%の増加が見込まれています。それと同時に、製造メーカは世界市場での競争が激化しており、内燃機関、ハイブリッド、および完全な電気自動車を含む自動車製造の動向に合わせて、より多くの種類のタイヤを生産する必要があります。
タイヤメーカはどうすれば市場の状況に最適に対応できるのか?
ロックウェル・オートメーションの戦略アカウントチームのリーダであるドミニク・シュナイダーは、次のように説明します。「生産性と問題解決の素早さを向上させるために、トップレベルの製造メーカはよりスマートな工場フロア技術を採用しています。しかし、その多くが、製造フロアのデジタル資産を組合せ、情報に対応した生産環境を構築することに苦労しています。」
本当の意味でのデジタルトランスフォーメーションに必要なのは、インテリジェント資産からの関連データの収集だけではありません。そのデータを、企業のすべてのレベルの従業員がよりスマートに、かつより生産的に働くことを可能にする情報に変換することも必要なのです。
従来のクラウドベースのプラットフォームを超越する拡張性
近年、工場フロアでスマートな資産が数多く使用されるようになりましたが、生成されたデータを役に立つインテリジェンスに変換するよう設計されたクラウドベースの分析プラットフォームも広く活用されるようになりました。
従来のクラウドベースのプラットフォームは、複数のソースからデータを集積できます。しかし、そのデータから製造やビジネスに関して洞察するには時間がかかります。また、データアーキテクト、ビジネス・インテリジェンス・エンジニア、およびその他の社内データ管理の専門知識が必要となる場合もあります。
さらに、クラウドとのデータ送受信は、すべてのアプリケーションに対して実用的であるとは言えません。従来のクラウドベースアプローチでは、プラントプロセスや、日々作業を行なう従業員にすぐに変化をもたらすようなスピードで状況に応じた情報を提供することができないのです。
コスト効率に優れた実践的な分散型インテリジェンスへのアプローチ
スケーラブルな分析プラットフォームは、企業のすべてのレベルにとって実用的なインテリジェンスをエッジデバイス、オンプレミス、またはクラウドで展開できる、コスト効率に優れた実践的な方法を提供します。
これは、タイヤ製造業者の多くの領域ですぐに効果が現れます。さらに、材料の混合や加硫などの複雑な製造工程では、機械学習によって製品品質、製造の敏捷性、およびエネルギー効率に劇的な効果を与えられるため、その重要性が非常に高まります。
しかし、これはソリューションの一部にすぎません。このスケーラブルなプラットフォームは、複数ソースからのデータを自動的に統合する演算エンジンやツールをも搭載し、ユーザの共有性を高めるとともに、オペレーションやビジネスに関する洞察をより迅速に提供します。
その結果、タイヤ製造メーカはスケーラブルなアプローチによって、ローカルでのエンジニアリングやメンテナンスから企業のトップレベルに至るまで、そしてデバイスからクラウドに至るまで、企業の各レベルにおける製造工程の最適化により深く取り組むことが可能になります。
スケーラブルな分析およびタイヤ製造メーカ向けのソリューションのより詳細な説明をご覧ください。