製薬企業は、以前から巧妙なサイバー犯罪者の格好の標的となっていました。しかし、COVID-19の大流行により、リスクベースのサイバーセキュリティプログラムの必要性が高まり、しかも早急に必要とされました。
ある世界的な製薬企業は、ITとOTシステムのサイバーセキュリティプログラムを構築するための支援を必要としていました。パッチが適用されていないOT資産は、製造工場のセキュリティリスクを高めており、ICSコントローラへの脅威をリアルタイムで可視化できないため、OTマルウェアを検出することはほとんど不可能となっていました。
さらに、この製薬企業では、業務ネットワークと産業プラントネットワークが分離されておらず、重要な製造システムとの間のトラフィックや経路が制限されていなかったことも、リスクを高めていました。
同社は将来を見据えて、サイバーセキュリティのすぐれた健全性についてチームを教育し、セキュリティ改善を持続させる企業文化を作り出す必要があると考えました。
導入したもの
この製薬企業は、リスクを評価した後に、ロックウェル・オートメーションと提携し、ネットワークのセグメント分け、エンドポイントとペリメータセキュリティの要塞化を行なう、サイバーセキュリティ保護の強化に向けて大きなステップを踏み出しました。
最初に、3段階のサイバーセキュリティプログラムが直ちに設計され、実施されました。優先順位の1番目は、ネットワークやシステムに攻撃があったときに脅威の拡散を抑えることができるように、世界中にある64の拠点のネットワークを論理的かつ物理的に分離することでした。また、脅威アクターの活動を妨害するためにセキュリティのペリメータデバイスを増やし、事前に承認された用途だけを許可するアプリケーション「許可リスト」を導入しました。
次に、脅威検知サービス一式を導入し、USBクレンジングを実装して、ネットワーク内外からの脅威や攻撃から守るために、OTネットワーク上のUSBメディアを一元的に管理・監視しました。また、脅威検知サービスでは、ベースラインとなる正常なネットワーク動作を判定し、年中無休24時間体制の脅威監視機能により、異常な動作を検知したときに警告を発します。これにより、企業はシステムにリスクをもたらす可能性のある活動を、より迅速に、または攻撃される前に特定することができます。
成果
ロックウェル・オートメーションは、この製薬企業が約9カ月という短期間で64カ所の拠点に強化したセキュリティ戦略を設計・導入することを支援しました。これにより、ますます増加し高度化するサイバー脅威からOTとICS資産を守る能力を向上させました。同社は現在、世界中の施設全体でICSへの脅威をリアルタイムで一貫して把握できるようになりました。