背景
ケンタッキー州クラーモント郡のジムビーム蒸留所は、75年以上にわたり世界で最も上質な蒸留酒を製造しています。クラーモント蒸留所では、年間9千万本以上の蒸留酒が製造され、世界200カ国以上に輸出されています。以下のような多くの一流のバーボンブランドがこの施設で蒸留生産されています。ジム・ビーム・バーボン、ジム・ビーム・ブラック、および極上のスモール・バッチ・バーボン(ベイゼル・ヘイデン、ノブ・クリーク、ベイカーズ、ブッカーズなど)
60万樽ものバーボンがこの蒸留所の敷地にある27棟のラックハウス内で熟成され、北米で最大規模の蒸留所の1つとしての地位を確立しています。
プロセス
バーボンでは色の100%と風味の60%は樽に由来すると言われています。風味の残り40%は、マッシュビルに含まれる穀物や、酵母、発酵条件、およびローワインとハイワインの蒸留プルーフによって決まります。ローワインとハイワインのプルーフを維持することにより、発酵過程で発生したアルコール以外の風味に影響する目的のコンジェナーがハイワインの中に保存され、望ましくないコンジェナーは除去されます。
マッシュビルに使用される穀物は煮てから酵母を加えて発酵させ、醪(ウォッシュ)」を作ります。約9%のアルコールが含まれる醪は、ビアスティルと呼ばれる連続式多段蒸留器に運ばれ、蒸留器上部でアルコールが気化して濃縮されます。このアルコール蒸気が凝縮されて「ローワイン」が作られます。約60% (120プルーフ)のアルコールを含むローワインは、滞留槽に保存されます。
醪の残りは、「蒸留残液」として蒸留器の底に残ります。ローワインは、「ダブラー」で単段の最終蒸留を行ないます。ダブラーから気化した蒸気は凝縮され、約65% (130プルーフ)のアルコールを含む「ハイワイン」が作られます。ハイワインは、新しい内側を焦がしたオーク樽に詰める前に、目的の濃度に希釈(プルーフを調整)するまでシスターンと呼ばれるタンクに保存されます。
アルコールの損失を防ぐため、蒸留器の側部やダブラーの底部、およびその他の蒸留所から廃棄される流れがタンクに集められ、「ヘッドおよびテール蒸留器」と呼ばれる小型の蒸留器に送られます。アルコールは蒸気中で濃縮され、蒸留器の上部から出て行き、凝縮されてローワインになります。
課題
最近数年間に、バーボンウィスキーの世界的な消費ブームが起きています。ジムビーム社は、機器とプロセスの制約に従いながら、施設を最新化してスループットを最大化することをめざしました。この目標を達成するには、製品の整合性を維持しながらスループットを増大させ、プラントの操業限界に近づけるために、プロセスと品質のばらつきの削減が必要になります。このアプリケーションは、技術コンポーネントの実装を通じてリアルタイムのモデル予測制御を提供します。
ソリューション
Pavilion8®コントローラは、制約処理、フィードフォワード、デカップリング、およびデッドタイム補正を実行します。プロセスモデルを使用してコントローラの動作を最適化します。従来のモデル予測制御(MPC)が線形モデルを使用するのに対して、Pavilion8コントローラは非線形モデルの使用ができます。
Pavilion8コントローラは、下位レベルのプロセス制御ループ(通常、PIDループ)の推奨セットポイントを計算し、リアルタイム制御性能を最適化します。これらのコントローラは、ボードオペレータによってMPC制御をオンまたはオフにすることができます。1台のPavilion8コントローラがセットポイントを別のPavilion8コントローラの制御変数に書込むように設定することにより、さらに複雑なストラテジを実装することができます。