新しいバッチ管理システムはダウンタイムを削減し、グローバルなスナック製造企業の生地品質を改良させます。
大規模なグローバルブランドのスナック製造メーカのプラントの1つが、非常に長期にわたって過剰な生産損失と資金面で劣悪な状況を被っていました。低い生産量、不十分な生地品質、および予期しないダウンタイムのすべては、12のミキシングステーションおよび原料配送システム用の問題のあるバッチ制御システムによって引き起こされていました。
事態を複雑にさせているのは、既存コードは独自仕様のソフトウェアの予防策としてアクセス不能で、「ロックダウン」されていることでした。誰もが問題が何かをわかっているのに、ビジネスのペースを維持しながら問題を解決するということの困難さを理解するにつれて、フラストレーションが日々大きくなっていきました。
選択肢は2つだけしかないように思えました。1つ目は何もせず旧式のシステム、貧弱な生産、非効率という「負担」、およびアップグレードのための柔軟性の欠如という災難を被りつづけることです。2つ目は、12のミキシングステーションのそれぞれを1箇所ずつ長く継続する移行期間をかけてシャットダウンし、14台の個々のプログラマブル・オートメーション・コントローラ(PAC)のそれぞれのコードを交換およびテストして、変更作業の数か月後にはプラント全体の生産が改善するだろうと期待することです。
しかし、もし3つ目の選択肢があったとしたらどうでしょう? 14台のPACのすべてのコード、すべてのヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)ステーションと新しいバッチ管理システムソリューションが実行システムに、オフラインで書込まれテストできるとしたらどうでしょうか?
これはダウンタイムを大きく短縮し、新しいコードに対する信頼を生み出し、ビジネスのリスクを減らすことができます。また、予想不能な結果、増大するコスト、および無期限のシャットダウンを軽減します。
スナック製造企業はロックウェル・オートメーションのソリューションパートナであるポリトロン社に依頼し、設置する前にミキシングシステムをエミュレートし、仮想で操作し「仮説」状況を試してみました。この結果、製造メーカは新しいバッチ管理システムと制御システムを信頼して、ミキシングエリア全体、事実上、プラント全体をシャットダウンできました。
その次に、同社は生産が数日後には再開できるとわかっているので、すべてのミキシングステーションと材料配送システムを交換することができました。
ロックされたコードの交換
既存のバッチ制御システムは数年前に設置され、まだバグのある固定化された、独自仕様のコードを含んでいました。プラントは自分たちではシステムをサポートすることも、変更することもできませんでした。スナック製造企業は、スケジュールの都合が難しく、何百マイルも離れていて、保守費用が高額なサプライヤに依存していました。
このスナックメーカは、自社のシステムを自社のスタッフで運用し、保守することのできるオープンな標準的なアプローチを必要としていました。
ロックされたコードを交換するには、以下のような独自の問題がありました。
- 既存システムはまったく文書化されておらず、ポリトロン社とスナック製造企業は、新しいコードに取り組む前にどのようにシステムが稼働しているかを再定義し、すべてのコードをリバースエンジニアリングしなければなりませんでした。
- システム・インテグレータ・チームのエンジニアとプラントのバッチシステムの専門家は協力して作業し、オペレーションのスーパバイザの専門知識と情報を活用して、新しいコード定義が重要な情報をキャプチャするように適切な技術移転が行なわれたかを検証しました。
- ロックウェル・オートメーションの新しいFactoryTalk Batchシステムがどのように稼働しているかの詳細な説明を作成することは、スナック製造企業がまったく新しいシステムを使えるように自社のオペレータを再訓練する時間を費やさなくて済むようにするために欠かせませんでした。
- 詳細な説明を使用して、既存のControlLogixプロセッサは、標準コードのオブジェクトのPlantPAxライブラリで再プログラミングされました。
- FactoryTalk View HMI画面の外観と操作方法は同じでなければなりませんでした。これを成し遂げるために、既存のHMIはACP ThinManagerとFactoryTalk Viewを使用してシンクライアントと交換されました。シーケンスは以前と同じように動作する必要がありました。そしてすべてのバッチレシピは、 厳格な食品品質規格に適合するように正確に従う必要がありました。
- 施設内の既存のWindows PCは、ACP ThinManagerを使用してシンクライアントと交換されました。
- 各サブシステムとの統合は、それぞれの重要なシステムを全体のソリューションに完璧に統合するために書き直されなければなりませんでした。
他のポリトロン社のチームは、プラント全体のミキシングシステムの以下のようなシミュレーションモデルを作成しました。12のミックスステーションとほぼ2ダースのドライおよび液体材料の配送サブシステム。全部で、700以上のデバイスがモデル化されました。PAC、HMIおよび新しいバッチ管理ソリューションに接続されたとき、スナック製造企業はオフラインでテストできる完全に動作するバッチシステムを手に入れました。
ポリトロン社は、ロックウェル・オートメーションのLogixとRSLogix Emulateオートメーションプラットフォームのために特別に作成されたEtherNet/IPとOPCを使用して、IOドライブをシミュレートするためにPlantPAx とともにシミュレーションソフトウェアを使用しました。チームは、動的でリアルなプラントのシミュレーションで新しい制御システムをテストできました。
また、レシピやオペレーションのシナリオ、手動および自動シーケンス、その上、可能性のあるフォルトや回復手順さえも検証しました。この広範囲のテストのいくつかに参加後、プラントマネージャは生産開始日に間に合わないというリスクがほとんどないと感じて、プラントをシャットダウンすることに自信を持ちました。
新しい生地の生産
スナック製造企業は、前もって計画した感謝祭のシャットダウン日を1日だけ延長しました。ポリトロン社はプラントの生産を月曜日の朝までに稼働させなければなりませんでした。
計画、モデル化、テストの実行は報われました。スナック製造企業の担当者は次のように述べています。「完全な事前チェックを実行できる能力は貴重で、当て推量と操業開始時の不確定さを排除しました。新しいコードがシームレスにシステムに導入され、期日通りに操業開始が実現しました。」
たった5日後、月曜日の朝9時までに、すべてのシステムが清掃され、新しい生地が生産されました。
まったく新しいバッチ管理システムと制御ソリューションは以下のすべての期待に応えました。予期しないダウンタイムがなく、技術者は今や自由にコードを検証するためにアクセスでき、品質仕様は目標通りでした。
- さらに良いことには、ダウンタイムは25%も減少し、生地の品質は30%も向上し、つまり不良バッチはありませんでした。
- オペレータは、システムをすぐさま稼働することができました。プログラミングが切り換わった一週間後、オペレータの1人が「それで、システムの変更はいつ行なうのですか?」と尋ねることさえありました。