医薬品、医療機器、または消費財製造メーカであろうと、最新のテクノロジを使用するトレーサビリティ基盤は、製品の市場投入に要する時間を短縮し、製造工程を改善し、コンプライアンスを強化できます。
スマート工場の時代がやってきました。そこで、運用技術(OT)とITが統合します。デジタルテクノロジは、人々やプロセス、モノを、1つのシームレスな一元化したインフラにつなぎます。しかも、データで新たな画期的なチャンスを明らかにすることができます。より多くの製造企業が新しいデータ対応テクノロジを導入している一方、真のスマートマニュファクチャリングのオペレーションの実現には1つの必須要素が必要です。それは、すべてをカバーするトレーサビリティです。
産業規制の要件と品質保証費用、および返金プログラムが発達し続けるにつれて、製造メーカはトレーサビリティシステムが提供する直接的、間接的な利点を利用することによって差別化できます。これには、プロセスの改善、サプライチェーンのコントロール、不良リスクの最小化、規制課題への対応、およびカスタマ・サービス・レベルの改善などの利点があります。
トレーサビリティ基盤により、製造工程、コンプライアンス、およびサプライチェーン管理を改善できる見識に富むデータを収集できます。
スマートプラントにはなぜ製品の追跡記録機能が必要なのですか?
大規模および中規模製造メーカは、増大する課題に直面しています。例えば、製品リコールは増加との一途をたどっています。食品製造業のリコールプロセスはとても費用のかかるものであり、平均して1000万ドル以上もの費用がかかります。これには、サプライチェーン全体でのリコールのやりとり、リコール対象の製品の回収と処理、発生したリコールの調査、再発を防ぐための是正措置の実施などの費用が含まれます。
また、世界税関機構によれば偽造品や迂回品は米国の貿易で企業に5000億ドルもの損害を与えています。それと同時に、企業は利益をあげ、競争力を維持するために絶えず運用効率を改善しようと悪戦苦闘しています。
すべてをカバーするトレーサビリティなしでは、競合他社に先んじる、納期に間に合わせる、お客様を満足させる、規制に従うことは困難なことです。
インダストリ4.0の本質的な部分として、完全なトレーサビリティはいまだにテクノロジ産業の間で企業での採用が遅れていると評価されています。ただし、傾向としてはもっと多くの企業が取り入れる方向に進んでいます。
製造企業の調査で、LNSリサーチ社はすべてをカバーするトレーサビリティを実現するためのプロセスやソフトウェアを導入済みの製造企業は23%にすぎませんでしたが、約60%の企業は翌年に導入する計画だったことを明らかにしました。これは製造メーカが製品トレーサビリティの重要さを認識していることを示しています。
ディスクリート部品のトレーサビリティ
トレーサビリティに取り組むにはいろいろな方法があります。個々のコンポーネントレベルでマークを使用したディスクリート部品のトレーサビリティは、通常、各部品を最終アセンブリにリンクできるので、すべてをカバーするトレーサビリティを実現する最も効果的な方法です。
これらのディスクリート部品のトレーサビリティマークは、多数のよく知られている方法で作成できます。直接部品に刻印するのは、可読のマークが恒久的であり、耐久性があるので、検証するのに一番良い方法です。一般的に、インクジェット印刷やラベルなどの間接的な方法が、初期費用が安いので使用されています。
直接部品マーキング機器の中で、レーザ刻印システムおよびピン(またはドットピーン)刻印システムは、評判が良くさまざまな材料に恒久的なマークをすぐに刻印できます。レーザやドットピーン機器による直接部品マーキングは、耐久性のあるバーコードを刻印できます。このバーコードは部品をデータベースに結びつけ、プラントレベルのオペレーションから最終的な組立製品まで追跡可能で、その製品の寿命が尽きるまで追跡できます。
ディスクリート部品の刻印によるすべてをカバーするトレーサビリティを首尾よく達成するためには、製造工程のできるだけ初期の段階でコンポーネントに刻印することが重要です。これによって、それぞれの部品をライフサイクル全体で確認することができ、データの価値を最大化できるようになります。生産問題の目星をつけ、傾向を見分けることができ、積極的な改善を行なうことができます。
デジタル化は製品の市場導入に要する期間を短縮
製品の市場投入に要する時間の短縮は、発見から臨床試験までの経路を製品がたどるにつれて、バイオテクノロジメーカや製薬メーカにとってますます大きな懸念事項となります。ことわざにもある通り、「時は金なり」で、これは競争が激しいライフサイエンス業界にとって特に重要です。
ラボデータは商業生産に必須です。そのため、デジタル・オートメーション・システムがラボデータやパイロット・プラント・データに容易にアクセスできるようにすることは極めて重要です。 最新式のDCSは、ラボにとって最適かつユーザフレンドリなソフトウェアから、完全に統合されたプラントフロアのソリューションまでの規模に対応できます。
拡張性に富んだ最新式のDCSに基づくデジタルトランスフォーメーションは、ラボと生産フロアの両方に大きな利益をもたらします。最新式のDCSは分析ツールを使用して、生データをすぐに使用できる情報に変換できます。この実用的な情報はラボから生産にいたるまで、運用効率と設備効率に大きな効果を与えることができます。
例えば、システムはラボの何千というデータポイントを分析して、隠されたままになっている相関関係や因果関係を迅速に見つけ出すことができます。プラントフロアでは、最新式のDCSがバッチや機器分析ツールを提供して、システムが最適に運用し続けることを支援します。
一番重要なのは、最新式のDCSが電子バッチレコード(EBR)、検証および法規制の順守の土台となる全体的な製造ソリューションを提供するということです。