新たに参入する起業家から大手メーカまで、カナダのビール醸造所はクラフトビールへの需要で売上を伸ばしています。
クラフトビールの人気の爆発によって、スリーマン・ブルワリーズ社の生産ラインは限界に達しました。カナダで3番目に大きな醸造会社であるスリーマン社は、オンタリオ、ケベック、ブリティッシュコロンビアの3つの醸造生産施設を有しています。
クラフトビール醸造設備の最新化
ブリティッシュコロンビア州バーノンにあるスリーマン社のオカナガン・スプリング・ブルワリー(OSB)では、OSBビールの需要の増加に対応するのに苦戦していました。管理チームは1日に8回醸造という醸造最大生産量を引き上げる方法を探していました。
既存のインフラは時代遅れの半自動制御システムに基づくものでした。醸造プロセスの変更(新たなレシピの追加を含む)は、手作業で行なう必要があり、そのためヒューマンエラーおよび不整合のリスクが高くなります。
より優れた制御はより優れた醸造を意味する
スリーマン社のチームはロックウェル・オートメーション認定システムインテグレータであるマクレー・インテグレーション社と協力し、生産能力の増強、リスク削減およびリアルタイム生産データへのアクセス提供のために、組み込みプロセス・オートメーション・システムを設計、導入しました。
スリーマン社のチームは、1つのソリューションによって各施設をまたいだ標準化を目指しました。
OSBの醸造監督を務めるステファン・トブラー氏は次のように述べています。「単一のプラットフォームは、ライン全体および施設間の洞察を与えてくれます。ですから、優れたビールを生産しながら成果を積み重ね、当社の継続的改善という目標を達成することができます。私達は、すでに当社の他の施設でロックウェル・オートメーションの装置で標準化を完了していました。また、マクレー社がロックウェル・オートメーションのテクノロジをベースとした単一のプラットフォームによって当社が目標を達成するのをサポートできることを知っていました。」
マクレー社は、ロックウェル・オートメーションのPlantPAx®分散制御システム(DCS)とマクレー社のMeridian BrewSoftおよびBrewSightソフトウェア(現在のFactoryTalk Brew)を基にした段階的アプローチを採用しました。
このシステムには、醸造サイクルトレンドをピンポイントで特定するために、主要プロセスデータを収集・追跡・記録する報告書およびヒストリアンソフトウェアが含まれています。これにより、オペレータは必要な場合に積極的に醸造プロセスに変更を加えることができます。ロックウェル・オートメーションのプロセス・オブジェクト・ライブラリは、定義済みコントローラコードおよびフェイスプレートを提供し、新システムによってスリーマン社のオペレータはさらに短時間で新規バッチを設定し、レシピを構築することができます。
Allen-BradleyのPowerFlex 525およびPowerFlex 755ドライブは、醸造プロセスにおける柔軟なモータ制御を実現し、制御システムとのデバイス診断の通信をサポートします。
導入を完成させるため、マクレー社はスリーマン社のITチームと協力して、VMware仮想化サーバをインストールしました。これらのサーバは、生産データの自動冗長性と、強化されたデータリカバリおよび拡張されたデータストレージを提供しました。1つの仮想化サーバは、最大4つの物理的バックアップサーバを置き換えることができ、それによりハードウェア装置のコストが大幅に削減されます。
また、これにより、スリーマン社のチームは仮想化サーバのコピーを作成し、オフラインでシミュレーションを実行し、生産の変更を事前にテストすることができるようになりました。
より多くのビールを生産
2週間以内に、スリーマン社はバーノン施設の生産量を1日当たり8回の醸造から12回の醸造へと50%増加させました。
管理者は、PlantPAxシステムのトレンディング能力とBrewSightソフトウェアの報告書を活用して、あらゆる生産の問題をチェックすることができます。例外報告書を使って、醸造が発酵にいたる進行状況をシステムが追跡して報告書を作成し、醸造の変数が範囲から外れると管理者に電子メールが送信されます。
醸造チームは、手直しや事後に少量の不足分を別に醸造するのではなく、必要となる任意の是正措置を講じて、ダウンタイムを低減することができます。
トブラー氏は次のように説明します。「クラフトビール醸造では、水、入荷するモルトやその他の変数に応じてレシピに多数の小さな変更を行ないます。そして、新規のレシピを追加することもあります。PlantPAxシステムとFactoryTalk Brewソフトウェアによって、私達は醸造品質を維持することができ、また、消費者の好みと市場の傾向の変化に迅速に対応するために必要な柔軟性も確保できます。」
ソフトウェアアップグレードで生産速度が上がり、さらに高い醸造品質が保たれています。現在、バーノン施設は業界トップクラスの2時間醸造サイクルを誇り、香りと品質の一貫性も向上しています。
スリーマン社のチームの仕事はまだ終わっていません。チームは貯蔵施設および梱包ラインを含む残りのバーノン施設全体にPlantPAxプラットフォームを導入することを計画しています。スリーマン社の施設のすべてのエリアが標準化されるにつれて、企業の可視性が改善し、同社が事業の成長を促す意思決定をより効果的に行なうことがさらにできるようになります。
上記の結果は、ロックウェル・オートメーションの製品とサービス、および他の製品を採用したスリーマン・ブルワリーズ社の事例です。他のお客様の場合、具体的な結果が異なることがあります。