電気自動車(EV)は自動車生産に革命を巻き起こしています。2017年には、代替燃料を使用する自動車は販売総数のわずか4%にすぎませんでした。しかし、代替燃料テクノロジへの大規模な投資のおかげで、2023年までには代替燃料車と石油燃料車の製造台数がほぼ同数となり、2040年までには新車の54%がバッテリ駆動車となると予想されています。この成長著しいEV市場で今こそが、自動車メーカにとってEV製造業務を革新するパートナを見つける絶好の機会です。
EVに対する要求の高まりは、既存の自動車メーカも新規参入企業も、かつてないほど迅速かつ円滑に新工場を建設する、または既存の事業やインフラを変革する必要性に迫られることを意味します。また、排出量削減のための新しい環境基準、自動車のトレンド、政府によるリベート、およびライドシェアサービスの普及を考慮すると、自動車メーカは競争力を維持しつつリコールのリスクを緩和するための適切なEV戦略を策定する必要があります。
自動車メーカは増大する生産要求を満たすため、サプライチェーン内のあらゆるサプライヤからの革新的ソリューションを必要としています。EVサプライチェーンに含まれるEV自動車メーカ向けの機械装置メーカ(OEM)、リチウムバッテリ製造メーカ、または電池用捲回機を製造する特殊な機械装置メーカ(OEM)にも、新技術を統合して生産性を向上できる余地があります。
次世代の輸送技術革命がこの分野にあります。リアルタイムデータの共有、自己認識機器、独立型カートテクノロジなどは、製品化までの時間短縮に貢献する技術のほんの一部にすぎません。
すでに始まっている自動車製造の未来
自動車メーカも機械装置メーカ(OEM)も、新しいテクノロジを活用することで収益性を向上できます。近年、韓国の大手バッテリ製造メーカはバッテリセルの品質とエネルギー容量を改善する新しい製造技術に投資しました。
この企業は生産能力を向上し、欠陥率を低減させるための高速かつ高精度な生産を目指していましたが、既存のコンベアシステムの能力には限界がありました。このバッテリメーカは、現在だけでなく将来にわたっても要件を満たすことが可能な新しいソリューションを模索しました。
概念研究を詳細に検証した結果、ロックウェル・オートメーションの柔軟でスケーラブルなオートメーションプラットフォームの価値と能力が明らかになりました。MagneMotion®のQuick Stick®インテリジェント・コンベア・システムはエンドユーザの要件を満たすソリューションを提供し、スループットの向上と所有コストの低減を実現しました。
自動車メーカは今後数年間で何百種類もの電気自動車を発表しようとしており、そのため製造コストの削減とバッテリ寿命の最大化に重点を置いています。バッテリセル製造メーカから自動車組立て業者、そしてサプライチェーン全体にいたるまで、自動車メーカにとって効率性と収益性を改善するチャンスが開かれています。
電気自動車が自動車生産を急激に変化させる中、既存の自動車メーカも新規参入企業も、かつてないほど迅速かつスマートな新工場を建設する、または既存の事業やインフラを変革する必要性に迫られています。自動車メーカが競争力を維持し、高度に柔軟なコネクテッド環境でのデータ主導の製造へと移行するのであれば、適切なEV戦略を策定する必要があります。
大手企業はコネクテッドエンタープライズなどのソリューションを活用して、より接続されたデータ中心型のアプローチでEV製造を合理化しています。世界中の多くの自動車メーカがコネクテッドエンタープライズ導入のアプローチを採用し、柔軟な製造によって収益性を維持しています。
スマートデバイス、MESシステム、および分析ツールを活用することで、業績が向上するとともに、安全ダウンタイムを70%削減できました。
平田機工株式会社(以下Hirata)は、自動車業界などの製造メーカに製造設備やエンジニアリングサービスを提供する、有名で評判が高い生産設備メーカーです。Hirataは、お客さま用にカスタマイズされた生産システムを提供することで知られ、一貫生産体制を確立することにより信頼性の高い生産システムを低コスト・短納期で実現します。
Hirataはカスタマイズされた生産システムを提供するために、あらゆる製造工程を熟知した技術者が、設計、組立・検証、生産立ち上げまでを一貫して生産する体制を整えています。最新の製造技術を駆使してシステムを改善し、大型生産システムの試運転・仮生産が行なえる広大な組立試運転スペースおよびクリーンルームを保有し、世界中のどの地域においても市場の需要の変化に柔軟に対応しています。
Hirata独自の設計コンセプトであるACS (Assembly Cell System)は、各工程で使用する装置や機械の動作、ユニット、部品の機能を分析し、共通化した「標準モジュール」による組立ラインシステムで、旧来の方法より高い性能とコストパフォーマンスで信頼性の高い組立ラインシステムを短期間で実現することができ、製造ラインの立上げを早め、製造メーカーの期待に応えます。
電気自動車市場は新たな市場であり、競合他社の参入が予測されたため、できるだけ早く量産ラインを立ち上げたいというニーズがありました。
業界初のEVバッテリ量産ラインを開発
Hirataは海外での現地サポートを提供するロックウェル・オートメーションを採用しました。そして、Hirataの新たなカテゴリに取組む「エンジニアリング能力」と「ものづくり力」で、業界初のEVバッテリ量産ラインを作り上げました。
HirataはACSの標準セルを活用するコンセプトで着手しましたが、フットプリントの縮小に伴い、1つの装置(ACS)で複数の作業を行なう必要に迫られました。
Hirataは装置単位の作業項目を分析し、1ステーションに複合工程を組み込む新たなコンセプトで取組み、ACS内での作業を最大4項目実施する構想を行いました。それには、ACS内に最大3ユニットのガントリーを配置し(最大23軸のサーボドライブ)、各々の軸が高速で同期動作を行い3次元的にも干渉無く最適な複合動作を行う軸構成・プログラムをロックウェル・オートメーションとの協業で開発する事に成功し、今までにない大型・高速・高精度・高機能のACS製作を達成し課題の克服を図り実現しました。
装置の情報はイーサネットを介して、エンドユーザの製造実行システム(MES)と接続しています。またイーサネットを通じて日本からリモート診断を行うことができるため、海外の現地サイトに行かなくても装置のデータにアクセスすることが可能で、リアルタイムで設備稼働をサポートできます。また、これにより出張旅費を削減できるケースもあります。現地サイトでの対応が必要な際も、技術者が事前にデータを確認して準備することにより現地での作業時間が短縮されます。
ロックウェル・オートメーションのControlLogix®コントローラは、共通の開発環境を備えた共通の制御エンジンを使用して、使いやすい環境で高性能を提供します。この装置では、ControlLogixコントローラを各セルに取り付け、サーボモータを制御してバッテリの材料を移動し組み立てています。Hirataは、パフォーマンスの高さとセーフティ機能を必要としていたので、ControlLogix L8とGuardLogix® L7Sコントローラを使用しました。
セーフトルクオフ機能を備えたKinetix® 5700サーボドライブとイーサネットベースの安全ネットワーク(CIP safety)は、EtherNet/IP上の統合モーションの価値を強化します。さらに、このサーボドライブはシンプルな配線と省スペースを提供することで、装置のコミッショニング時間を短縮し、パフォーマンスを向上します。
Hirataはセル間のコンベアを移動するために、すぐに簡単に設置と構成ができる革新的なモジュラー設計のPowerFlex® 525 ACドライブを使用しました。これらのドライブは、それぞれ複数のモータを制御しています(1つのドライブが2つのモータを制御)。
EV用バッテリの需要増に貢献
Hirataが最も重視する指標は、サイクルタイム、稼働率、そして歩留まりですが、今回はフットプリントの課題も考慮する必要がありました。
機械で使用する制御機器を、ロックウェル・オートメーション製品で標準化することで、全体の効率を上げることができました。標準AOI機能により、プログラミング時間が約30%削減しました。さらに、ロックウェル・オートメーションとの協業により機械のフットプリントを30%削減することができました。そして、ロックウェル・オートメーションの現地でのサポートのおかげで立上げ時間を10%削減しました。Hirataは、エンドユーザの要求に合った納期で、ニーズであるEVバッテリの量産ラインの製造を実現しました。
これにより今後需要が期待できるEVバッテリ量産ラインにおけるシステムの第一歩を、ロックウェル・オートメーションと協業で進める体制を構築する事が出来ました。
ションと協業で進める体制を構築する事ができました。
ここで紹介した成果は、Hirataでロックウェル・オートメーション製品およびサービスをその他の製品と併用した結果です。実際の成果は事例ごとに異なる場合があります。