フォンテラは、世界中の顧客の高まる要求に応えつつ、各施設で同じ高品質の製品を作る必要がありました。AOTグループは、画期的なソリューションがデジタルトランスフォーメーションにあることを知り、工場現場から企業へ信頼できるデータを安全に提供する効率的な方法を見つける計画を開始したのです。
数年にわたるデジタルトランスフォーメーションの実現に向かう前、フォンテラの製造データは、紙ベースと電子システムが混在した状態でした。時には、データが不完全であったり、特定のオペレータしか理解できないこともありました。データは、他の施設や企業との間で簡単に文脈を変えたり共有したりすることができず、集中管理プロセスもないため、バージョン管理の問題も生じていました。
データ収集に革命を起こす
チームは、データ収集と分析能力に革命をもたらし、製造と企業機能全体に信頼を与えることができる、革新的でサステナブルなソリューションを導入するための旅を開始しました。
フォンテラは、すでにロックウェル・オートメーションのソリューションを使用して、クローズドループ分析、製造オペレーション管理(MOM)、トラック&トレースソリューションをビジネスに統合していました。AOTチームは、MicrosoftおよびPTCとのロックウェル・オートメーションの戦略的提携も活用する予定です。
フォンテラは、変革の前に、以下のような多くの課題に直面しました。
- 顧客の需要に応えるための生産能力が限られており、工場建設のための資本投資が必要になる可能性があった。
- 世界各地の工場で標準化が進んでいない。
- 特定やトラブルシューティングが困難な事象による計画外のダウンタイムが発生した。
- 信頼性、一貫性、文脈を欠いた手作業によるデータ収集と集計が大量にあり、業務とビジネスの意思決定をタイムリーに行なう能力に影響を与えている。
フォンテラのデジタルトランスフォーメーションの主な目標は、施設全体の継続的改善の一環としてOEEを向上させることと、工場増設のための資本支出をせずに生産能力を向上させることでした。また、潜在的な品質問題の軽減、計画外のダウンタイムの削減、日常業務、予測、戦略的なビジネス上の意思決定に役立つデータの民主化も目指していました。
抵抗勢力の克服
最初のフェーズは3年かけて完了し、現在では10以上のフォンテラの拠点でデータ主導の洞察が実現されています。チームは、データの収集と分析という新しい方法に対して、いくつかの抵抗を感じました。日々の業務や生産高をスプレッドシートで把握することに慣れているため、自動化されたデジタルシステムが、人間の経験を必要とする要素を誤って伝えてしまうのではないかと心配する人もいました。
このシステムは、情報の正確さと、情報へのアクセス、分析、共有のしやすさで関係者を感心させ、その実力を証明しました。実際、関係者は数字の計算に費やす時間を大幅に減らし、分析を使って機会を特定し、ひらめきを与えることに費やす時間を大幅に増やしたのです。その結果、工場長は改善点を絞り込んでエラーに迅速に対応し、経営陣はより機敏な意思決定を行なうようになり、この取り組みは文化的な転換点を迎えました。